Scribble at 2026-07-12 09:16:23 Last modified: 2026-07-12 20:58:34
岡野原大輔氏の『ヒトとAI』(岩波新書 新赤版 2122)が7月の下旬に出版される予定だ。目次を眺めると、かなり総覧的に事項や話題が配置されているものの、総ページ数は新書の標準的な200ページていどであるから、個々の項目は相当に簡略な内容であることが予想できる(最近のちくま新書のごとく500ページに迫る分量ならともかく、標準的な200ページくらいの新書で全28章というのは、例外的に細かい区分だ)。こういうことを言うのは気の毒だが、かつて宮台真司氏が実験的に書いたような、「ツイートを編集した本」のような体裁ではないかという懸念も生じる。実際、目次として予定されている内容を十分に議論するなら、その分量は新書として出版するには手に余ると思われ、アメリカの教科書並みに分厚い書籍となるべきだからだ。
それから、岩波書店は生成 AI に関わる出版物の執筆を殆ど岡野原氏一人だけに依頼・依存しているようだが、逆に言えば文章が書けるプロパーが殆ど日本にいない(し、彼らの文章を岩波で編集できる人材がいない)ということでもあろう。これも、出版文化や情報リテラシーの観点ではリスクがある。岡野原氏が業績に応じて名声や金銭を得るのは構わないし、ゆくゆくはデジタル庁の長官など権力を手にするようになろうと構わないが、他の著者が育たないというのでは困る。