Scribble at 2025-12-13 19:37:22 Last modified: unmodified

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これは2016年頃に作成した、某鉄道系企業の百貨店に関わるキャンペーン・サイトのサーバ構築だけを対象とした見積書だ。広告代理店から一般のウェブ制作会社が受ける案件では非常に多い事例なのだが、ウェブ・サーバは1台だけ、そしてデータベースもウェブ・サーバに同居させるというのが先方の予算から逆算した与件であった。もちろん、個人情報や機密情報をデータベースに格納するなら、プライバシーマークを与えられている事業者としては一定の抵抗はするものの、たいていは「予算がない」などとして押し切られる。これは裏話だが、さほど大きな赤字でもない場合は、弊社でサーバ費用のコストを負担してデータベースのサーバを別のインスタンスに分離させて、キャンペーンで取得した個人情報を保護したこともあるのだ(もちろん、広告代理店やトップ・クライアントには非公式の承諾はとっている)。まともなレベルの Chief Privacy Officer がいる会社では、トップ・クライアントの予算規模や広告代理店の都合などお構い無しに、一般利用者の個人情報を守るためにこういうこともやるのである。大企業や IT ゼネコンで、バカみたいな金額の予算や血税でクズ同然のサイトを鼻くそほじりながら構築・運用している連中は恥を知るとよい。

ただ、ここ10年くらいのあいだに予算規模そのものが更に縮小して、そういうこともやっていられなくなった。そして、この2年くらいのあいだで更にインフレなどを理由としてサービスの利用料金は逆に上がっているのだから、ウェブ制作会社にできることは限られてきている。となるとどうなるか。

答えは簡単だ。僕らのように、制作部署の正式なメンバーではない技術者がいると、僕らの費用を「なかったことにする」ということになる。したがって、僕がサーバを構築してきた数々の案件では、そもそもサーバ構築にかかわる上のような見積もり費目の請求は全くスルーされるというのが常態化するようになったわけである。何かの案件でサーバを構築するとなると、AWS にインスタンスを建ててくれる妖精さんがどこからかやってきて、本来なら AWS なんてサーバ構築に加えて特別なクラウド・サービスを運用する技術料(AWS のインターフェイスが分かっていないと、まともにインスタンスを建てられないし、的確なセキュリティも設定できないからだ。単に Linux の構築手順を知っているだけでは、AWS のエンジニアは務まらない)もかかるところを、こういう妖精さんは知らないあいだにインスタンスを用意してくれる。そこで、広告代理店にはこれらのコストや手間がなかったかのように振る舞うか、あるいはこれらの費用を「サービス」として提供するというパフォーマンスをやるわけである。

IT ゼネコンで、ふだんからウェブ・サーバを構築するのに1台あたり数千万円などという桁違いの請求をしている人々にすれば、サーバの構築どころかアプリケーションやセキュリティ対策までやって20万円もかからないなどというのは、信じがたい費用感であろう。それこそ、昨今のクラウド・ワーカーが長野か愛媛の山中でモヤシでも食いながらやってるような作業のコストに思えるかもしれない。だが、現実のウェブ制作事業というのは、このコストすら出ないのが相場だった。確かに、弊社の場合は長らくそれでも良かった。なぜなら、受注金額が当然のように四桁くらいはあったので、グロスとしてなんでもかんでもやってから代理店へ請求すればよかったからだ。しかし、もうそんな時代は過ぎ去っている。上場企業のキャンペーン・サイトですら、さくらのレンタル・サーバを利用する月額数千円の見積もりが通らない場合もあるという時代だ(笑)。

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