Scribble at 2025-09-11 22:42:02 Last modified: 2025-09-12 12:40:09

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『[新版]組織行動の考え方: 個人と組織と社会に元気を届ける実践知』(東洋経済新報社、2025)

既に名誉教授となった金井氏が20年前に出した本の新版とのことだ。今日も出社していたときに、ジュンク堂で管理部門系統の書棚を物色していたら、新刊書の棚にこれがあった。弊社は代表が金井氏の薫陶を受けた経緯があって、非常勤講師として神戸大に行っていたこともある。博士課程を(中退だけど)出ている人間が何十年も足を踏み入れていないというのに、妙な縁があるものだ。

ちなみに、僕は当サイトでも MarkupDancing でも、原則として経営学という学科は未熟であり、はっきり言えば二流の学術分野だと明言しているわけだが、それは何だかんだ言いながらも数百冊の経営書やビジネス書を読んできたり、僕自身が取締役や部門長として経営の一角を担ってきたという経験から言っていることなので、もちろん優れた堅実な研究成果があることも知っているし(ハーヴァードの「人気教授」の大半が口先だけの愚物であることも知ってるよ。アメリカの経営学の教授なんて、モルモン教の教えを生成 AI にぶち込んで経営や自己啓発を語らせたような本ばかり書いてるじゃないか)、金井氏を始めとして傾聴に値する本を書いている人々だって知っている。バブソン大学の教員も個人的に面識があって、僕がこういうスタンスを取っていることも承知しての関係だ。ということなので、もちろん経営学にも一読に値する本はいくつもある。ウェルチの『わが経営』ですら、事実関係を理解したうえで読むなら、それなりに彼の事情とか錯覚などを窺い知ることに役立つ、それなりに有益なファンタジー小説だと言える。

さて、本書を手にとって目次を眺めて最初に気づくのは、組織行動論の概論書として採用というフェイズを扱っているのは珍しいということだ。組織行動論を語る本の多くは、いまある組織をどのように制御するかという観点で書かれていることが多く、したがってリーダーシップとか、モチベーションとか、意思決定とか、フィードバックとか、交渉とか、企業文化とか、最近では組織の学習とか心理的安全性とかダイバーシティなども語られるであろう。だが、採用活動を語る本は少ない。そして、僕は採用について一章を割いている本書には、一定の信頼を置いてよいと思う。

はっきり言って、大半の組織論というものは制御方法ばかりを語っていて、例のティール組織みたいなカルト宗教の劣化版などをありがたがる人々が多い。でも、手持ちの駒、つまりは現状のスタッフでどう組織を作ったり変えていくかという発想だけでは無理があるのだ。そもそも、組織として改善あるいは向上するための人的リソースが、どこの企業であろうと既に現時点で揃っているなどという幸運があるだろうか。会社経営のリアリズムは、そうではない。やはりコンピテンシーやガバナンスの方針とか基準を定めたら、それに見合っていない人員を(当たり前だが違法でも不誠実でもないやり方で)「バスから降ろす」手立ても必要だ。また、基準に見合う人員をどうやって採用するかも考えなくてはいけない。

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