Scribble at 2025-09-05 07:09:50 Last modified: 2025-09-05 07:20:45
モリサワのフォントを利用するライセンス契約プランが、MORISAWA PASSPORT から MORISAWA Fonts へ移行したのは、大半の商業デザイナーであればご存知であろう。まさか、会社がパソコンにセットアップしたフォントにライセンスがあるとか、あるいは年間のライセンス利用料金が何万円もかかるという事実を知らずに、上げ膳据え膳で Illustrator CC でお絵かきだけしてるなんて人は、デザイナーを名乗っている人間にそうそう1割もいるわけがなかろう。もちろん、モリサワのフォントを全く使わずに仕事をしている人もいるわけで、海外のデザイナーは日本語のフォントなんて Google Fonts から拾ってくればいいというくらいにしか考えていないだろうし、日本でも Adobe のフォントだけ使う人がいるかもしれない。
ちなみにだが、既にモリサワのフォントは買い切りができなくなっているので、書体ごとに買い切りで使っているデザイン事務所はあるかもしれない(そして、全くフォントをアップデーもせず増やしもしないという可能性はあろう。デザイン事務所なんて、フォントのライセンスを契約する費用どころかアルバイトに払う給料すら資金繰りに困っているところが大半だろう)。しかし、いずれにしてもそういう例外を考慮してまで商業的なレベルのデザインを語る必要はない。そういうレベルで仕事をしてる人々(の事務所)が、倒産するなり廃業して実質的に「デザイナー」と呼ばれる人々の母集団から消え去ろうと、別にデザインという言葉の意味やデザインの理論なり思想にとって何か不当な事実が生じるわけではない。また、デザインという業務や業界を語るために、何か重大な事実を見過ごすことになるわけでもないのだ。そういう些末な話を積み上げることだけに専心して仕事や業界を「正確に」分かったつもりになっているのは、せいぜい社会学者くらいのものであろう。
僕は、コロナ禍が始まった5年ほど前に MORISAWA のライセンス(当時は MORISAWA PASSPORT という名前のライセンスだった)を自分のマシンから解除して、10年以上にわたって利用してきたモリサワのフォントを使わなくなった。したがって、商業デザイナーの業務環境とは言えない条件で InDesign や Illustrator を使っているわけだが、もちろん僕はデザイナーとして勤務しているわけではなく、僕が会社案内の版下や名刺をデザインできるのは単なる余技にすぎない(もちろん、もともとはウェブのデザイナーでもあったわけだし、余技で制作するようなレベルのデザインでないというくらいの自信はあるがね)。なので、現在はバックオフィスの立場でライセンスという資産の管理を担当している。
というわけで、本年度もライセンスを更新する時期なのだが、MORISAWA Fonts のサイトへ久しぶりにアクセスして驚くのは、昨年度からブラウザのセッション(つまり Cookie の有効期限)が切れていないという事実だ。これは以前も、「さくらインターネット」の会員サイトでセッションが何年も有効になっていて、ログインしなくても会員サイトへアクセスできてしまっていたという話をしたことがあって、現在はさすがにそういうレベルのエンジニアが会員サイトを設計したり実装したり運用しているわけではなさそうだが、ああした業種のサイトですら、セッションの扱いは非常に杜撰であった。しかるに、モリサワのサーバを構築したり、ライセンス管理のサイトを開発し運用しているのが、社内の部署なのか、それとも委託先なのかは知らないが、いまだに杜撰な状況にあるのも仕方ないとは思う。なにせ、これも以前に書いたことがあるけれど、モリサワと言えば他人のライセンス管理画面が見えてしまうというバグを何年も放置していたし、社内の部署であれ外注であれ、同じ人員がサイトをリニューアルしているなら、どのみち運用されているサイトの情報セキュリティのレベルはしれていることだろう。僕が見て使っている限りでは、MORISAWA Fonts のサイトくらいなら、サーバの構築からウェブ・アプリケーションの設計や実装、運用まで含めて、僕が単独でやってもいいくらいの「へなちょこ」システムだが、たぶん日本でエンジニアやプログラマやコーダを名乗っている人間の90%にとっては、タフな仕事だろうと思う(というくらいの感覚や基準で仕事をやってない限り、電通・博報堂案件から受託する上場企業のキャンペーン・サイトの構築や開発なんてできないわけで、東大や慶応の修士を取ったくらいでエンジニアとか、ガキが舐めんなよという話だ)。しかし何にしても、エンジニアというより情報セキュリティのマネージャとして、せめてセッションは数時間で切ってもらいたいとは思う。つまり、こんなサイトは日課のようにアクセスするわけでもなし、毎回のログインを要求してもいいわけである。というか、そろそろ(流行というだけで脆弱な仕様の実装はともあれ)MFA くらい追加しようよと思うね。
あと、これは弊社の具体的な話なので書けないことは多いのだが、やっぱり外注にライセンスを貸与するのは止めたほうが良いと思うんだよね。クリスチャンの慈善団体じゃあるまいし、なんで外注が仕事をする道具を発注元が購入して貸与するなんて甘いことをしてるのか。これって、下請けの工場が自動車の部品を作る製造機械をトヨタ本社が何億円で購入して貸与してるみたいな話なんで、そんな甘い環境で下請けの仕事ができるなら、資金なんて事務所の賃料と電気代くらいで済むんだから、大学生でもトヨタの下請けができるだろうよ。ということで、どういう利害関係で首根っこを押さえられてるのかは知らないが、バックオフィスとしては中期的なスパンで、そういう杜撰な金の使い方を是正したい。こんなの、ケツの穴まで見られる上場監査や真面目な会計監査だったら、弁解のしようがない話だし、そもそも株主や融資元にどういう弁解をするのかということなんだよね。会社の金を、なんでそんなことに使ってんだよって話だし。