Scribble at 2023-12-06 22:09:28 Last modified: 2023-12-06 22:12:12

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Could you move from your biological body to a computer? An expert explains ‘mind uploading’

いわゆる mind uploading についての議論だが、あまり新しい議論や感心するような立論は見当たらない。結局、multiple realizability の議論にしても言えることだが、「何を」「どうする」ことが心のアップローディングや realizability なのかという条件がまるでクリアになっていない話だからだ。それぞれが勝手に SF 的な前提を置いて、それが SF 的に達成されたとすれば、何が SF 的に起きるのかという空想を語っているだけであって、多少は現今の脳神経科学や心の哲学の話題を挟んではいるようだが、しょせんはどちらの分野についても見識を欠いた連中の茶飲み話にすぎない。

MD で6月に multiple realizability を取り上げたときにも書いたことだが、だからといって何も言及しないというのでは、デタラメな議論が大手を振ってしょうもないマスコミの対談イベントなどで一般人に広がっていくだけである。そして、そのような議論のバカバカしさに気づく人々が、本来のまじめな心の哲学や意識の研究、あるいは現象学と呼ばれる肉体フェチの人々が展開するお話を軽んじることになるのは、何にせよ由々しきことではあろう。よって、代わりにアマチュアが暇潰しにでもこうしてくだらない議論や、哲学として全く進展しない判で押したような解説を取り上げて牽制することにも意味がある。

そもそも、僕は脳神経細胞の全てをトレースしたり計測することを条件に課している時点で、意識についての重大な論点先取をおかしているように思えてならない。ひょっとして、数百の神経細胞が引き起こしている電気的な反応の余韻みたいなものが意識であるという可能性だってあるからだ。僕はデネットが『解明される意識』で語ったように、意識なんて、実はそんなに大して素晴らしいものではないかもしれないという予感のようなフレーズがいまでも強く印象に残っている。もちろん、だからといって「ファン・フラッセンと禅」とか「クワインと侘び寂び」とか語り出すような分析哲学の手合いと一緒にされては困る。そこまで耄碌してないわ。

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