Scribble at 2023-11-13 18:09:19 Last modified: unmodified
こんなの、既にわれらが会長の伊勢田さんが類書を出してるし、日本科学哲学会なり科学基礎論学会と協力して自力で書けるだろうに、まぁマーケティングとしては「ハーヴァード大学教授」というブランドは東アジアでクラウド・ファンディングで出版された本を読もうなんて暇人には有効なのだろう。科学哲学に携わる一人として、いまだにブランドでしかものごとを解決しようとしない連中が「科学とは」「科学者の責任」「科学の役割」なんて大言壮語を語る、それこそ「お喋り階級」の本をありがたがってるなんて、あんまりいい傾向とは思えないね。んで、いまだに「科学論」というマスコミ用語を使ってるあたりも、訳者の見識のなさを物語ってるよ。
科学について、その魅力や威力を啓発したいということなら、既に邦訳としてナタリー・アンジェの『ナタリー・アンジェが魅せるビューティフル・サイエンス・ワールド』(近代科学社、2009)なんてのも出ている。コロナ禍で広まったインチキな連中の語る「科学」とやらを退けたいという意図は分かるけれど、ネトウヨを叩き潰したり同調する人々に影響を与える方法は、デマーケーションを語ることではないと僕は思う。ああした人々には、それこそバカもいるけど、精神を病んでる気の毒な事情で落ち込んでしまう人もいるのだし、やはりナッジや印象操作といった、聞こえは悪いがマーケティングやメディア・リテラシーの応用が望ましい。彼らにとっては、何が科学として正しいのかなんてことに本当は関心がないからだ。