Scribble at 2023-11-07 08:52:38 Last modified: 2023-11-07 09:22:32

昨日は出社していて、お昼前にジュンク堂へ足を向けて本や雑誌を物色していた。やはりカール・フレイの『テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス』は気になるので、大著の割に3,500円ていどだから一読しておこうと思った。年末調整がいくらか返ってきたら買おう(いや返ってこなくても年末の読書用に買うと思うが)。

数学の棚へ行くと、そろそろ「黄金比」関連のフェアはやめたらしく、これまで面陳列になっていた何冊かの書籍は1冊ずつ分類のよく分からないところへまとめて並べられている。陳列の仕方として理解し難いのだけれど、まず素人は数学の棚になど足を運ばないわけで、そうするとプロパーが黄金比の通俗本なんて読むかという話になる。確かに高校の数学教師とかが授業の小ネタとして手に取る可能性はあるが、まぁこう言っては悪いが日本の数学教師の多くも、数学の専門書の棚に足を向けるとは思えない。よって、こういう場所に面陳列で並べてまで黄金比の通俗本を宣伝しても、あまり効果はないだろう。本当に売りたいなら、やはりエスカレータを上がったところにある、面陳列の専用と言っても良い棚へ置くべきだろうと思うが、恐らくジュンク堂としては売れる見込みの低い黄金比の通俗本なんかよりも、構成作家風情が書く出鱈目な日本史の本だとか、あいもかわらず後知恵のオンパレードな経営書だとか、いったい日本に何千人いるんだと思うような直木賞作家や芥川賞作家の受賞作品を並べるのであろう。

それから、圏論に関連する本の出版がようやく落ち着いたらしく、このところ新刊は見かけない。正直、こんなに出してどうするんだと思うくらい初心者向けのテキストが続々と出たし、他には既に学んだ人々による雑談といったくだらない本が出るばかりで、結局は圏論で何の業績を上げているのかということが殆ど分からない。これでは説得がなくて売れないのも当然だ。それと比べて、モデル理論のテキストがようやく新しく公刊されたので、少しは選択肢のバランスを取れるようにモデル理論のテキストも増やしてもらいたいとは思う。Hodges の "short version" くらい翻訳してくれてもいいのに。どのみちシステム開発に応用するなんていうスケベ根性だけで、離散数学の基礎も勉強してない IT ゼネコンの小僧なんかに圏論をシステム開発へ応用なんてできるわけもないのだから(他にも、関数型言語の本の出版が流行していた時期には、関数型というだけで Haskell を習得しようなんて連中すら日本にはたくさんいたのだが、そもそも recursive function の勉強すらしてない人間がプログラミング言語を一つや二つ習得したというだけで、いったい何の業績を上げたというのか)、その手の下心でいくら圏論の本を出し続けても無駄である。

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