Scribble at 2023-10-03 11:44:52 Last modified: unmodified

多くの企業では組織の運用なり業務を効率化するという名目で、実務や分野として近い複数の職能をまとめてしまうことがある。たとえば弊社に限らず、「財務経理部」とか「人事総務部」とか「情報(通信)システム部」といった名称の部署がこれにあたる。とは言っても、そこで業務に携わっている人々の経歴からして、やはり自分が専任としている分野に思考や関心が偏ってしまう。経理の人は、どうしても会社にある手持ちのお金をどうするかという発想に集中するため、ファイナンスという観点が弱くなる。採用や福利厚生のことに忙殺されている人は、資産管理という観点が抜けてしまう。これは、あるていどは仕方のないことでもある。

よく「ジェネラリスト」という言葉を見聞きするのだが、あれは実に愚劣というか卑怯というか、欺瞞的とも言えるキーワードだと思う。僕らのように、名刺のデザインからサーバ構築、そして企業の役職者まで担うような、それこそ末端の雑用から企業経営に至る仕事を賄う、「フルスタック」だの「DevOps」だのという安っぽい兼任など足元にも及ばない水準で仕事をしているならともかく、たかだか1年ごとに社内の色々な部署を物見遊山ていどに回るような「あらゆる分野の素人」なんてものは、本来なら会社の生産性や売上に貢献しないゴミの筈である。しかし、どうして大企業にそんな立場がありえるのかというと、これは簡単な話だが、(1) 闇雲な大量採用による歩留まりを見越して、最もマシな人材を濾し出すための事実上の試用期間であるか、あるいは (2) 腰掛けとしてしか扱うつもりがない女子社員を、殆どリースの観葉植物みたいに入れ替えながら「陳列」するためであろう。(2) の場合は、そのあいだに男子社員が引き取って「処分」してくれるという、これまたまことに差別的な意図もあるはずだ。結局、複数の部署を経験して会社の経営に総合的な観点で取り組む云々などという、三流の経営学者とかが日経 BP の通俗本にでも書きそうなお題目なんて、実際のところどうでもいいのだ。

もちろん、このような企業は長期的には衰退する。なぜなら、そもそも大量採用して歩留まり率を維持さえすればいいなんてことしか人事部の人間が考えなくなっている時点で、その会社は人事という本当に重要な部署が破綻し、腐敗臭を放ち始めていると言ってもよいからだ。人事のコスト、したがって人事が無能である場合の損失は、経営者が考えている以上に間接的な工数なども含めて莫大な金額に換算できるし、また長期的な影響も深刻である。世の多くの経営書やビジネス本で、これだけ採用や昇進あるいは解雇についての難しさを多くの経営者が書いていながら、大半の企業ではいまだに属人的で、しかも採用に関連して人事部が責任を問われるという事例が殆どないという実態があるのは、多くの企業において人事部こそが社員の業務上の責任を問う側にいるからだ。そして、本来なら彼らを更に内部で牽制するためにもあるはずの内部監査に携わる部門が非常に弱く、それどころかたいていの企業には監査部門なんてない。いや、あったとしても内部監査で行われているのは、大半が経理や財務といったお金に関わる記録の監査だったり、それに関連する IT 運用の監査にとどまっている。つまり、監査部門をもつ大半の企業であっても、そこでやっているのは殆ど会計監査にすぎない。

もちろん、そういう部署がないからといって何もできないわけではなく、本来ならそうした社内の問題や実情を調べたり精査して検討するための組織が、経営会議なり役員会であろう。僕は、経営会議というのは会社全体の事案だけを取り上げるべきだと思っている。なので、よく営業とかウェブ制作の部署から「今月の成績は何件でした、来月は頑張ります」みたいな報告が出てくるわけだが、そんな時間の浪費として思えない小学生の反省会みたいなものは、経営会議の議題にしてはいけないと思っている(売上なんて勝手に工夫して上げるのがプロフィット部門の部長の仕事だからだ。それとも、経営会議でデザインやシステム開発を担う部長から営業の仕方をアドバイスしてほしいのか?)。あまり軍事用語を使うのはよくないと思うが、相対的な意味合いとして言えば、売上を上げるなんてことは単なる「戦術級」(分隊、あるいはせいぜい小隊規模)の問題であって、師団長が集まって議論するような「作戦級」の話題ではない(もちろん、この対比だと最上位の「戦略級」は役員会議や株主総会であろう)。

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