Scribble at 2023-08-05 08:00:38 Last modified: 2023-08-05 09:10:11
『スピノザ全集』全6巻 別巻1 [編集]上野 修・鈴木 泉|スピノザという〈彗星〉が再接近する――日本初の本格的全集、ついに刊行
こういうことをせっせとやってるのが日本の出版社の特徴ではある。いちおう世間的には「良いこと」だろうし、一概に冷笑するような意図はない。ひとまず責任編集者のお一人が鈴木先生でもあることだし(直に教わってはいないが、鈴木先生が神戸大におられた頃に僕は神戸大のドクターだった)、歓迎はしたい。買わないと思うけど。
改めて展開する話になるが、全国の大学図書館が1,300(文科省の発表)、そして地方公共団体の公共図書館が3,305(日本図書館協会の発表)、これらに加えて高校や中学の図書館でも書籍は購入するし、個人でも一冊5,000円前後の書籍だが購入する人はいるだろう。全ての図書館が購入するわけではないとしても、ざっと見積もって3,000セットくらいは捌けると想定している筈だ。というか、標準的なコストを考えると最低でも3,000セットくらいは販売できないと、たいていの出版社は経営が続かないだろう。それに、合計で3,000セットが売れるとしても、それをどれだけの期間に売り切るかも重要だ。また、昨今では電子書籍版で購入する人もいて、スピノザ全集に電子書籍版はないようだが、却って電子書籍の方を売りたがっている出版社も増えてきているから(電子書籍は単なる PDF でもない限りはコピーや売却ができないので、「古本」が出回らない)、近年の出版というのはどれだけの数を書籍として発行するべきかという想定も更に複雑になるだろう。
そういや、訳者にも解題にもスピノザで名が知られた小平の英雄は入ってないようだが、どうしたのだろう。もういまでは近代史や通俗哲学史の専門家になったから、スピノザではお呼びじゃなくなったんだろうか。