Scribble at 2023-05-30 09:51:01 Last modified: 2023-05-30 09:53:43

自社内でもそうなんだけど、いまだに「ITベンチャー」と「ネット・ベンチャー」の区別、いやそれどころか一般人から見れば「ウェブ制作会社」との区別すらついてないって人もいると思うんだよね。でも、かなり簡単に分類すると、

・ITベンチャーは、知財が資産。技術提供やライセンス先はあるが、顧客はいない。5年以内に巨額でM&Aされるか倒産するかの両極端という結末が多い。

・ネット・ベンチャーはビジネスモデルが資産。B2C/B2B の顧客にサービスを提供する。資金繰りが順調なら息が長い事業者が多いが、逆に言えば「ゾンビ企業」の温床。

・ウェブ制作会社は受託の下請け仕事。B2B。広告代理店の商流に入ってなければ、たいがい3年以内に倒産する素人や学生の無謀なお遊びが多い。大多数は最後に派遣かクラウド・ワーカーになる。

そして、もちろん僕が在籍している会社はネット・ベンチャーであって、ITベンチャーではない。機械学習やコンピュータ・サイエンスを理解するどころか Linux を扱えるのが事務屋のジジイの俺一人なんていう IT ベンチャーはないだろう。ウェブ制作の事業もやってるからネット・ベンチャーだけの会社というわけではないが、なんにしても当社のような企業が「ITベンチャー」を名乗るのは不正確だ。企業経営の基本は、利点も欠点も含めて自社を正確に理解することであり、願望や期待を事実と取り違えてはいけない。また、わざとバカのふりをして願望と現実とを取り違えることで現実回避するような自己欺瞞は、いっときは self-enhancement や self-help の手法として盛んに叫ばれたけれど、企業の経営に加わる一人として経験に照らすと、はっきり言って異世界転生物のアニメやラノベばかり見てるガキと同じで無意味であり有害である。

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