Scribble at 2022-12-23 11:39:42 Last modified: 2022-12-25 09:18:08

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Public Archaeology

今世紀に入って活動が盛んになってきた "community archaeology" や "public archaeology" は、日本でも何冊かの解説書が出ている。もちろん、これは考古学のアプローチとして提案されたり実施されているものであり、アウトリーチを指している言葉ではない。それだけのことなら、通俗的な歴史雑誌での啓発も含めて、考古学では半世紀以上も前からアウトリーチを続けている。

"community" と "public" が置き換え可能であるかどうかは、実際のところコミットしている研究者によって理解が異なる。いわゆる地域研究の一つであれば、別に東京の人間が大阪の古墳を調査してもいいわけだが、"community" という言葉を狭くとると、それは要するに「住人」の活動になる。そして、こういう使い分けについては、是非を簡単に言えるものではないという事情があろう。参加してもらうためにどういうスローガンを利用するかは、必ずしも学問という観点からだけでは言えず、地域の活性化とか行政といった観点からも判断してよいことだからだ。

よって、そもそも "community archaeology" なり "public archaeology" について議論する場であるジャーナルがクローズドでは困ると僕は思うので、こういう雑誌が営利企業で(もちろん "Public Archaeology" に掲載されている大半の論文がオープン・アクセスではない)発行されることには、やはり違和感を覚える。行政を巻き込んで最初からオープンな雑誌を作ってもらいたいという気がする。

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