Scribble at 2022-10-17 23:18:59 Last modified: 2022-10-23 07:54:45

多くのデジタル・コンテンツの購読料金、要するに subscription fee には、年間費用と月額費用という二つのプランがある。月額として均してみれば、年間費用の方が割安となっているサービスが多く、もちろん長く購読することが分かっていて、メディアの運営も今後の数ヶ月で終わると思えないなら、年間費用を支払う方が「リーズナブル」だと言われる。しかし、それには手持ちに十分なお金があるという重大な条件があるというのに、サブスクに関する議論では抜け落ちてしまうことが多く、強気というだけで愚かな料金プランを設定して失敗するサブスク・ベンチャーが跡を絶たない。スーツやシャツを自由に選んで着られるなんてサブスク・ベンチャーが5年くらい前に報道番組でせっせと紹介されていたが、あれだけあった衣料業界のサブスク・ベンチャーのうち、上場どころか事業を継続できているのは2022年の時点で何社あるのだろう。

結局、こういう事例もサラリーマンの多くがいかに「キャッシュ・フロー」という観点を理解していないかを物語っている。そして、とりわけプロフィット部門の人々というのは、バック・オフィスは企業経営の「必要悪」であると考え、あいつら事務員を食わせてやってるという傲慢な発想を死ぬまで持ち続ける。そう。たいていの勤め人なんて、会社法の勉強もしないくせに口先三寸のドラッカーだポーターだという小理屈は大好きだが、リアルな会社の運営手法になんて興味は持っていない。それは中年になろうと定年で退職した後であろうと同じであり、自分の子供が偶然にまともな経営学を学んだり財務部長だったりすることは滅多にないし、そうだとしても親と経営基盤の是非について議論する機会など僅かであるため、事実として殆どのサラリーマンは死ぬまで会社の経営なんて理解しないのだ。

実際、薄っぺらいサラリーマン経験しかない中年が小金を貯めこんだくらいで、自然豊かな北海道や長野で休日だけ開くパン屋を営みながら余生を送りたいなどと、錯覚をもとに御伽噺の世界を追い求める事例は多い。とりわけ彼ら男性にとって事務仕事は本業ではなく必要悪であるため、彼らが自営業者やフリーランスやクラウド・ワーカーとして何かを始めるときの典型は、これまで会社で誰かが担ってきた一切のバック・オフィス業務を妻に任せるというパターンだ。これが自営だろうと経営として甘いものにならざるを得ないのは、家事と同じく妻には給料を払わずに済むという前提でコストや料金設定をするからだ。これが多くの事例で自営業者が失敗する原因の最たるものだが、これをわざわざ指摘するコンサルや物書きなんて殆どいないのが実態である。なぜなら、そういうコンサルや物書きの大半も自営業者であるため、とりあえず物を書いて事業を継続している自分たちには、たまたま大きな悪影響がないという現状があるだけで自分たちも実は陥っているような過ちに気づくチャンスも知性もないからである。

ここ最近、クラウド・ワーカーに仕事を頼めばロゴのデザインもコーポレート・サイトの制作も桁違いに安くて済むというコマーシャルが飛び交っている。しかし、このインフレと所得向上を政府や財界ですら目標としている状況で、ロゴのデザインが1万円だの、コーポレート・サイトを2万円で作ってもらえるといった、誰が責任をとるのかも不明な仕事と金のやりとりが繰り返されていくうちに、誰も仕事に責任などとらなくなる。よって、更にこの国の技術や品質は低下してゆき、ここ最近になって続々と報道されているように、検査の値を何十年にわたって誤魔化してきたとか、劣悪な商品をオリンピックのマスコットキャラとして売りさばくために元広告代理店の重役に賄賂を贈るとか、「ものづくり」だなんだと言いながら何十年も前からイカサマをやってきた実情が改善されるチャンスを失う。すると、そういう実情を全く理解しないで、美しい国だの何のと言いながらペテンの宗教団体とつるんでいるうちに、背後から拳銃で撃ち抜かれる政治家も出てくるというのが、この国の或る程度は実態だったと言えなくもない。

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