Scribble at 2022-03-28 07:23:24 Last modified: 2022-03-30 08:21:21

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現実ではないけれど現実でもありえた、複数の世界がたしかに実在する、とデイヴィッド・ルイスは考えた――。私たちが後悔をすることの意味は何か。フィクションとは何か。別様な世界の可能性など、あるのだろうか。緻密に論証された可能世界論を解きほぐし、可能性や必然性をとらえ直すことで、私たちの日常はいまよりもクリアに見えるようになる。その哲学の魅力と明晰さをとらえる革命的入門書。

野上志学『デイヴィッド・ルイスの哲学-―なぜ世界は複数存在するのか―-』(青土社、2020)

このところルウィスの著作が翻訳されたり、本書のように彼についての研究書が出版されたりしている。本書は入門書として出ており、青土社というのが微妙だが(理想社や勁草書房の編集者ならリードに「革命的入門書」なんて書かないだろう)、ともあれ歓迎するべきことだとは思う。ただ、気の毒だが「可能世界」というキーワードを使うと、どうしても歪んだ自分勝手な期待を押し付けては適当な批評を書く人々がいるもので、敢えてはっきり言えば未熟で不勉強な SF オタクが寄ってきやすい危険がある。

また、それ以外の脈絡でも、ルウィスの著作に言及していないなら「ルイスの哲学」と称するべきではないという、これまた或る意味では素人臭い批評が加えられたりする。もちろん、特定の〈人物〉について議論すること自体が哲学において適切であるかどうか自明でないという点は措くとしても、仮にこれが適切なアプローチ(の一つ)であるとして、どうしてその〈人物〉が書き残した著作物を列挙したり、なかんずくそれらに書かれた事柄へ総覧的に言及していなければ、或る〈人物〉の「哲学」を語ることにならないのか。哲学の本について批評するのであれば、5分ていど自分自身で考えてからタイプし始めてもよいのではないか。

なんにせよ、価格設定としても手に取りやすいし、手に取っていないのに記事として紹介するのも変な話だが、時間があれば一読したい。

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