Scribble at 2022-03-14 21:42:39 Last modified: 2022-03-14 22:26:02

もう15年くらい前になるが、あの「バートランド・ラッセル協会」のサイトについて、僕は三浦俊彦氏が勝手に団体を名乗って公開してるだけのサイトだと勘違いしていた頃があった。正直、ウェブサイトとしては非常に乱雑で、ビジュアル・デザインはもとより、国立情報学研究所の職員が設計したとは思えない情報アーキテクチャのサイトで、まじめにアクセスしたことがなかったからだ。そして、トップ・ページをざっと眺めていると、三浦俊彦氏の著作一覧のページがあったりしたので、てっきり三浦俊彦氏が勝手に協会を名乗って個人サイトを運営してるのかと思ってしまったわけである。この点は、どこかで三浦氏のサイトであるかのように言及した(ついでに罵倒した)かもしれないので、本来の運営者と三浦氏に謹んでお詫びしておきたい。

あらためて「協会」の幾つかのページを見てみると(どうして括弧書きしてるかは、この括弧を除けば二文字だけ後から始まる次の文節でわかるから、こんな注意を書く必要はないわけだが)、既に休止した団体を継いだ読書会のサイトとして25年以上にわたって運営され続けている。それはそれで敬服に値するが、やはりその時点で殆ど止まっているのが残念という他にない。

確かに、それには学界にも責任があろう。なんせ、ラッセルについての研究業績が大して積み上がってはいないからだ。せいぜい、国内の分析哲学者であれば、通俗本で確定記述に関する底の浅い解説としてハゲのフランス王や『ウェイヴァリー』の著者について弄ぶのが関の山であろう。

なお、翻訳については著作権に関する国際条約が改定され、2018年12月30日以降に旧条約で死後50年が経過して保護期間が切れる筈の著作権は、保護期間が死後70年に延長される。ラッセルのように1970年に亡くなった人物の著書については、著作権の保護期間が死後50年なら2021年1月1日から彼の全ての著作物がパブリック・ドメインになる筈だったのだが、保護期間は延長される対象である。よって、ラッセルの著作物は本来なら Project Gutenberg などで自由に公開していいわけがないのだけれど、これにはパブリック・ドメインというアメリカ独自のルールがあって、"The Analysis of Mind" (1921) のように1927年1月1日以前に刊行された著作物は、著作権の保護期間にかかわらずパブリック・ドメインとして自由に利用できる。よって、"Mysticism and Logic and Other Essays" (1918) もパブリック・ドメインだ。ラッセルの哲学として重要な著作は、皮肉なことに1927年よりも前に出ているため、本来なら自由にいろいろと翻訳できる筈だが、どうも著作集を出している某出版社に遠慮しているのか、翻訳しようという人が若手ですらいないのだから、「協会」のサイトが何十年か前のスナップ・ショットみたいなサイトになってしまうのも無理はない。

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