Scribble at 2022-03-14 17:30:51 Last modified: 2022-03-14 21:48:14
Springer の Encyclopedia は、どの分野でも分量が非常に多い。電子版がスタンダードな発行スタイルになっているからか、早い話が「紙面の都合うんぬん」という言い訳をする理由も事情も必要も消失してしまい、それこそ個々の項目が SEP (Stanford Encyclopedia of Philosophy) みたいに一つの論説と言ってもいい分量の文章になっていても、それを集めた数千ページの著作物が低コストで発行できる。また、紙に印刷して書籍として手にする場合でも、昨今のオンデマンド出版は殆どの作業が自動化されているため、1冊からでも印刷・製本できる。僕が所有している Springer の多くの書籍も、裏の扉に "Printed in Japan" とあるが、Springer Nature の日本支社が世界中で販売される出版物を日本で一手に引き受けて印刷・製本し在庫を抱えているわけでもあるまい。
SEP も電子書籍としてまとめたら、現時点では2,500項目を超えているので相当な分量の書籍になるだろう。試しに先頭の "Abduction" をフッタのページだけ除外してウェブ・ページから PDF に変換すると、辞典として版下にするなら、文字のサイズから考えると50%ていどに縮小したくらいになるだろうから、A4 にして10ページとなる。つまり、SEP を A4 の判型で書籍化したら25,000ページになるというわけだ。これは、いくらなんでも PDF としてすら分冊にしなくては、スペックの低いパソコンだと PDF ファイルを開くメモリが足りなくなるはずである。1ファイルにすると、恐らく 300 MB を超えるファイル・サイズになるからだ。
最新かつ広範な関連項目を集めて、可能なら多くの同僚の手を借りて充実した encyclopedia を発行できるのは、ひとまず〈良いこと〉だと言えるのだろう。1,000年前の先祖たちなら、手書きの写本を荷馬車で遠くの国まで運ぶという多大なコストを払ったであろうし、恐らくそのうちの何割かは旅の途中で命を落とした筈である。