Scribble at 2022-01-26 15:29:28 Last modified: unmodified

The Philosophy Book (Big Ideas Simply Explained) written by Will Buckingham, Douglas Burnham, Peter J. King, Clive Hill, Marcus Weeks, John Marenbon, DK, 2011 というのを眺めてみたのだが、なんのことはない。中央公論新社から出ている『哲学の歴史』に、簡単な挿絵とか、あるいは議論の流れを雑なマインドマップかフローチャートのように描いた図が付いているだけのことだった。本文はこれから検証していくが、小学生くらいでも〈読める〉(分かるかどうかはともかく)語彙や背景知識で書かれているのか、どうも判然としない。こういう通俗的な哲学史の解説本は、他にも Philosophy 101 とか幾つか出ているようだが、海外でもさほどこういうことは編集者も含めて未熟さを脱していないようだ。

それもその筈で、良い悪いはともかく、大学入学者以下の素養しかない人たちを読者として想定した哲学のテキストなんて、アメリカですら戦後になって初めて書かれるようになったからだ。いまでも、そうしたものの大半は〈読み物〉の類で出版されることも多い。海外でも、実績や経験あるいは学界としての批評が不足しているのだから、仕方のないところではある。よって、試しに漫画で分析哲学を解説しようとか、格闘ゲームのノリでフッセルとハイデガーを戦わせようとか、そういったことが東アジアの辺境地帯で行われていても、別に不思議なことではないという話になる。そもそも漫画にしてから、実験的な描き方とかは色々なジャンル(それこそエロ漫画も含めて)で始まってきたという歴史がある。

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