Scribble at 2021-09-16 09:47:45 Last modified: unmodified

日本の出版社でスティーヴン・ウルフラムの A New Kind of Science を翻訳するところはないようだが、本書は色々な点で議論を巻き起こしたという意味では、翻訳して出版するまでの社会的な効用があるかどうかは疑問があるにせよ、真面目な科学哲学のテーマを見出すリソースとして扱うのは望ましいことだろうと思う。特に、ドーナツだなんだと子供(同然の知能)向けの俗書を出してばかりで一向にまともなレベルの metaphysics として業績を上げようとしないプロパーには、discrete vs. contiguous という対比を真面目に受け取って議論するような成果を期待したい。確かに、いきなりフェイ・ドウカー(Fay Dowker)らの成果を参照して離散的なモデルを検討してみようというのは難しいとしても、或る議論が存在論の話をしているのか、それとも認識論の話をしているのかを区別する指標を見つけるところから始めてもいい。もちろん、これにまつわる circulation なり区別を否定する考え、つまり「議論」には違いないのだから世界IIIのステージで展開すると見做すだけでよいという立場もありうる。

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