Scribble at 2021-08-25 19:33:51 Last modified: 2021-08-26 23:42:02

昨年度から弊社では正式に就業規則を更新して、週に1日だけ出社すればよいことにした。しかも、現今のように緊急事態宣言下では「テレワーク指示」が発令されていて、業務で特段の理由がない限りは出社しなくてもよいこととなったため、僕も社内のファイル・サーバを点検するとか郵便物を整理するといった、実際に出社しなければできない事情がある場合を除けば、週に1日どころか何週間も全く会社に出なくなった。

さて、このような状況でも事業が問題なく続けられているのは、従業員にノート・パソコンを貸与したり、会社で契約した法人用のモバイル・ルータを貸与して、自宅でもインターネット通信とパソコンでの業務に不足が生じないようにしているからだ。それに加えて社内の連絡やメール・アカウントを全て Google Workspace に統一して運用しているため、自宅のパソコンで作業している人が無理に自分の使っているメール・ソフトで仕事のメールを受信しなくてもいいようにしていたり、ファイルの共有は全て法人契約のクラウド・ストレージを容量無制限で使っており、それから営業関連の情報も Salesforce を初めとする SFA を既に導入していたり、財務・経理・人事についても、それぞれクラウド・サービスを利用しているからだ。その多くは、新型コロナウイルス感染症の蔓延が始まる前から進められていた digitalization という段階の施策であったが、ちょうどリモートでの業務が国家規模でも推進される情勢に合ったことになる。

当然だが、それらの業務データには個人データが含まれているため、CPO (Chief Privacy Officer) を拝命している僕の役割として、それらのデータを適正に運用したり管理する新しい基準とか手順を社内規程としてまとめてから、これ迄の規程を改訂しなくてはいけない。この場合、要点としては有利な点と不利な点がある。

まず有利になったのは、殆どのデータがクラウド・ストレージやクラウド・サービスで保管され運用されているため、データの所在やデータへのアクセス方法について、大阪の本社と東京の支社を区別する実質的な意味がなくなり、一つのルールで全ての事業所や全ての従業員の業務を管理できるようになったことだ。

しかし不利になった点は、もちろん全員が僕の見えないところで業務に携わるようになったため、彼らの業務環境が殆ど分からなくなっていることである。業務に使っているマシンは、本当に当人だけがアクセスしているのか、たまに家族どころか他人がアクセスしていないだろうか。そういうことは、もう各自の家でマシンが運用されている限りは、本当のところは分からなくなっている。

しかしながら、そういうリスクはあるとしても、会社として一つの基準や手順で同じ成果を期待したり要求できることは、リスクを上回る効用があると思う。そして、その効用を本当にリスクを上回る成果として導き出すのが、われわれ役職者の義務というものである。

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