Scribble at 2021-08-14 00:34:08 Last modified: 2021-08-14 00:39:33

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哲学において最も基本的かつ重要な概念である「同一性」を統一的な視点から解明する。

ある事物がそれ自体との間で同一であるという関係は、どのようなもので、なぜ成立するのだろうか。形而上学・ 意味論 ・ 認識論の三つの相における 「同一性」の諸問題に取り組み、その統一理論を提唱する野心的試み。

『同一性と個体 種別概念に基づく統一理論に向けて』

このような研究書は一般論としては歓迎すべきものなのだが、それにしても、この3年くらいのあいだに書籍の値段が3割ほど上がっているように感じる。アマゾンでも、O'Reilly や Apress の技術書は300ページていどのペーパーバックでも6,000円や7,000円が当たり前になってきているし、歴史書などは翻訳になると権利を買う費用もかかるためか、上下二冊で10,000円を軽く超えるタイトルが続々と出てきている。ビジネス書も、大手の出版社が最初から多く刷ってチャレンジングな値段を付ける場合を除けば、これまで2,500円くらいで買えた単行本が4,000円に迫ってきている。

よほどテーマに関心があって議論にも学ぶべきところが多いと想定できれば、これだけを読むために1ヶ月の小遣いを使っても構わないとは思う。子供が二人くらいいるサラリーマンなら、上場企業の役職者でもない限りは、ひと月に使える書籍代なんて1万円もないだろう。たぶん本を1万円も買ってるなんて、それこそ読書しか趣味がない人だと思われる筈である。しかし、単なる〈哲学的興味〉のためだけに7,000円の本を買うのは、やはりプロパーか変わり者のアマチュアだけの筈だ。良い悪いはともかく、偏差値70以下の大学に通う学生とか、年収400万円の家庭に暮らす主婦に7,000円の本を買うかと聞けば、たいていは浪費家扱いされるのが落ちである。既に一般的な消費者の感覚としては、内容の価値が高いかどうかは無関係に、2,000円を超えるような net value の書籍そのものが「高額商品」なのである。

誤解されると困るのだが、上記の本が高いと言っているわけではない。もちろん書籍のような商品は、内容の価値に応じて支払ってもよい値段というものがあるため、こういう(おそらく売れないが興味深い)研究書なら7,000円してもおかしくはないと思うし、逆になんとか実在論を始めとするエセ科学哲学っぽいシステム開発の用語とかを散りばめた、それこそ開発のプロである実務家のわれわれから言って〈スットコドッコイ〉としか思えない流行思想の駄本などは、1万円を逆に渡されて出版社や著者から「読んでくれ」と言われてもお断りだ。新書として出ているタイプの、「ぼくらのコロナ時代」がどうとかいうセンチメンタルで軟弱な素人社会学エッセイにしろ、あるいはフランス人によるエセ科学哲学の川柳みたいな本にしろ、それを読むのに2時間かかるとして、僕の2時間を浪費して1万円で済むわけがないだろう。

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