Scribble at 2021-07-31 08:44:29 Last modified: 2021-08-06 17:29:47

僕は個人としての感想で言えば、あと3年以内には現今の(何度目かの)「AIブーム」が終わると思っていて、それと同時に「ブロックチェイン」とか「量子コンピューティング」、それから既に誰も真面目に話など聞いてないと思うが「シンギュラリティ」も、少なくとも程度の低いマスコミや出版社の記事とか通俗書のタイトルから姿を消すであろう。もちろん、IT ジャーナリストや業界ブロガーや産業ライターの多くを占めるバカどもは、それを普及が進んだ末の陳腐化ないしはコモディティ化によるものだと勘違いするとは思うが、それらは学術研究の話題としては既に半世紀以上も前からあるものなので、どちらかと言えば元の〈研究課題〉という妥当な範囲の話題にまで押し戻されるにすぎない。

それら裸踊りが終わる決定的な理由は、もちろん「期待外れ」であろう。どれほど AI を駆使しても癌の決定的な治療方法は確立しないだろうし(そもそも癌の〈決定的な治療〉などという観念を弄んでいる時点で、生理学や細胞生物学や医学をブルーバックスに書かれているレベルとしてすら殆ど理解していない証拠だ)、ブロックチェインは金融においてすら主要と言いうるほどの役割を果たせずに(或る意味では正しい)規制に絡め取られてしまうだろうし、先の落書きで述べたように量子コンピューティングは今から5年が経過しても何の目覚ましい成果も上げられないと思う。

要するに、報道機関や商業出版社が何の成果を出せるのか不明なままの〈先進的な〉技術について我先にと記事や本を出して騒ぐのは、彼らが基本的に暇をもてあましている無能集団だからだ。暇であるがゆえに、自分たちが少しは見知っている分野や業界の話題が素人よりも手に入りやすく、そしてそれらを歪曲したり濫用しても素人は気づかないという、単純な情報の非対称性という利点を悪用しているにすぎない(これが「単純な」非対称性であるのは、われわれが単純に勉強したりものを調べるだけで、とっくに報道や出版物の是非を評価できるところにまで到達できるからだ。彼らマスコミが扱う技術情報の大半は、実際には官公庁や軍隊や大学や企業の機密でもなんでもなく、公開され検索も簡単にできるジャーナルや紀要やレポートを読む暇さえあれば高校生でもフォローできる、業界の実情といったていどのものにすぎない)。

こうした裸踊りが続かなくなるのは、もちろん我々の大半が彼らライターやジャーナリストのレベルにまで知識や情報を得て自主的に判断できるようになるからではなく、寧ろ裸踊りをしている連中が広げた大風呂敷に不釣り合いな小物しか包まれていないことが、自ずから〈成果が上がらない〉という明白な事実によってバレるからだ。酷い場合は、技術的シンギュラリティのように中身が空という場合もある。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook