Scribble at 2021-07-17 09:28:43 Last modified: 2021-07-18 01:29:24

The company's research into a consumer mind-reading device is over, for now. Some scientists said it was never possible anyway.

Facebook is ditching plans to make an interface that reads the brain

従来よりも数桁ていどの速いコンピュータとか、〈そこそこ〉予測性能が高い機械学習のモデルとか、そんなもんが揃ったていどのことで、ヒトの脳だとか、いわんや外界の自然現象をまとめてシミュレートできるわけがないということくらい、計算などしなくても分かる。それが、いまだにピコピコやってはいても(僕もそういう連中が集まってくる会社の部長なのだが)ヒトの知能というものだ。

上記の HCI に関連する話は些末すぎるので、僕にはあまりインパクトがない。それよりも、HCI やシンギュラリティと同じく誇大広告がバラ撒かれた量子コンピュータのバブルが崩壊するのではないかと、或る意味では野次馬的な好奇心を持っている。実際、ここ5年くらいのあいだに量子コンピュータの話題があれこれと報道されるようになったけれど、実は量子コンピュータも HCI と同じく学術研究のテーマとしては40年くらい前からあって、ようやく厳しい条件つきで制約された目的にだけ一定の成果を出せる動作までこぎつけたというのが現状だ。「量子コンピュータで暗号社会が破壊される」といったデマを素人がバラ撒こうと、そんなものは既に防御可能なアルゴリズムがすぐに発表されている(現行の量子コンピュータは特定の条件でしか高速に計算結果を出せず、条件を変えて処理するよう計算させたら、量子コンピュータはただの足し算ですら現行のコンピュータよりも莫大な時間がかかってしまう)。そして最も大切なことは、ここ5年ほどのあいだに具体的な話題としてわれわれが知っているのは、そういう素人ジャーナリストたちの馬鹿騒ぎでしかなく、もう少し程度の高い話題でも、せいぜい quantum supremacy のような具体性のない、いわばマーケティング競争に近いパフォーマンスしかなかったということだ。

いったい、この5年で量子コンピュータはどんな成果を上げたのか? 何もないではないか。

それどころか、あのブロックチェインですら夥しい数のベンチャー企業のコーポレート・サイトや企画書に登場してきたものの、結局はしょーもないレベルの金融市場をつくったり、しょーもない決済サービスの道具にしかなっていない。金融や決済サービスそのものが人の腹を膨らませたり喉を潤すわけでないことくらい、原始人でも知っていたことだ。そんな道具がどれほど低コストで世界中に普及しようと、〈それで何を買うのか〉について解決されていない限り、ブロックチェインなんて哲学者であるわれわれにとっては、そこそこ面白い数学の玩具か、あるいは僕らのようなプロの開発者にとっても、少しは面白い情報処理のモデルにすぎない。

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