Scribble at 2021-03-03 21:46:10 Last modified: 2021-03-04 23:14:52

そうか。昨年度の大会はオンラインでやったのだったか。ひとまず、幾つかの動画は拝見したけれど、大半の発表は、まるっきり原稿を読んでるだけだったな。特にドクターの発表に棒読みが多くて、マスターでもそれなりに咀嚼して喋ってた人がいたのは意外だった。ていうか、いきなりプロローグもなしに略語の説明から始めてる人もいたけど、プレゼンやったことないのかな。無理に ice breaker とかは入れなくていいけど、研究室で雑談してるんじゃないんだから。

なんにしても、うちの事業部の部長らが経営会議でやってる報告とあんまり変わりないスキルだな。原稿を読み上げてるだけでは力点がわからないし、それだけなら資料を配って読むだけで良く、話を聴く必要はない。行間や脈絡を補いながら一つの storytelling にするのが力量というものではないだろうか。僕は、いわゆるレッシグ・メソッドで経営会議や決算会議などで発表し始めてから15年くらいになるけど、いまだに同じようなスタイルで(それこそスライドなしでもフリー・スピーチだけで発表になるていどには筋道を用意してリハーサルも何度かやる)やるひとがいないんだよな。

これはうちの同僚たちにもアドバイスすることはあるのだけれど、われわれ凡人が毎月や毎回の報告で、あれやこれやと業績を上げられるわけがないんだよ。発表したいポイントを1つだけにして、他は強調したいポイントを印象づけるための準備とか背景とか伏線として、その1点に収束するようなストーリーに仕上げたら分かりやすい。事業の場合は成果が外部要因で偶然に起きることもあるが、学術研究の場合はラッキーでこう解釈できましたとか、たまたま他人に教えられて仮説を思いつきましたなんてのは、発生論的には事実だとしても、それでは論証になっていない。学術研究の論証は、ビジネスのいわゆる「ロジック」、つまり管理系の部長がよくやる事実の報告だったり、あるいは営業系の部長がよくやる大状況を持ち出す弁解のような発表とは違って、それなりに用意周到に組み上げる必要がある。ということは、その筋書きは別に歴史的な事実の叙述でもなければ、偶然の積み重ねとして発生論的に説明するようなものとは、本質的に異なるということだろう。他人に何事かを理解してもらったり、何事かを説得するには、そういう〈他人からみて妥当であるなと、受け入れやすい筋書き〉に仕立て上げてあげるということでもある。

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