Scribble at 2021-01-19 11:41:49 Last modified: 2021-01-19 11:48:45

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Synthese Library

もう400巻以上も出ている。色々な意味で気が遠くなるな。1冊あたり平均して、おおよそ€80とすると、2021年1月19日の時点では€1=125円ってとこだから(別に丁度の数値として算出できるようにする意図はなかったが)1巻で10,000円だ。つまり、全巻を揃えようなんて人は、Synthese Library だけで400万円の支出となるわけだが、しかし翻って考えてみれば、400万円で済むと言えば済むのだ(余裕のある人にしてみれば、という条件がつくにしても)。恐らく、そういう財力があっても問題は中身の活用だろう。1年で消化するとしても、これだけのアンソロジーを1日で消化するのは難しい。たいていの科学哲学のプロパーは専門の領域なり話題というものがあり、逆に言えば量子力学の話題に強い人は進化論をさほど知らず、数学の哲学をやってる人の多くは土質力学を始めとする応用分野の話題など興味すらなかろう。よって、自分が知らない分野の話題で編まれたアンソロジーを読み進めるのは大変である。

もちろん、そんなことをする人はいない。そもそも自分の専門分野で、研究のテーマにしている話題について検索してすら、膨大な論説が見つかるのが現在の状況である。しかも、30年くらい前なら英米とオーストラリアの研究者が出す業績に着目していれば殆ど事足りただろうが、もう既にヨーロッパ語圏で(しかも英語で)書かれた論説も、凄い勢いで増えているし、ご承知のとおり色々な賞を受けるほどの高い水準にも達している(そらそうだ。別に英語で書いてなかっただけであって、イギリスを除くヨーロッパ語圏が哲学の業績として停滞していたわけでもなんでも無い)。よって、自分の関心に関係があるのかどうかも分からないアンソロジーを闇雲に、それこそ「編集工学」さながらに読み漁るなんて人はいないだろう。

ただ、ざっとタイトルを眺めていると大半が面白そうだ。でも、個人はともかくとして、こういうのをまとめて置く大学図書館なんて国内にあるんだろうか。もう関大ですら、竹尾先生が出た後は(講師はおられると思うが)いわゆる「分析系」の教員がいなくなったので、購読していた雑誌も減っている筈だ(三村さんが『週刊プロレス』よりも Studia Logica を優先して読んでるとは思えない)。

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