Scribble at 2021-01-08 09:47:49 Last modified: 2021-01-08 09:49:05

On the view of Bertrand Russell (1872-1970), a proper name such as ‘Aristotle’ has the same meaning as a description such as ‘the pupil of Plato and teacher of Alexander (the Great)’ and so designates whoever uniquely ticks the boxes:

☐ was taught by Plato

☐ taught Alexander

The necessity of Kripke

改めて購読を始めた Aeon は、敢えて heated な時事を扱わない人文・社会系のエッセイや動画を掲載しているメディアだ。いまでは多くのメディアが他のメディアから記事を転載することも多々あるが、Aeon は殆どのエッセイがオリジナルである。エッセイの内容だけでなく、メディアの運営として気に入っているので、"Friends" の一人として僅か $5 の月額だが購読している。(他にも The Atlantic のオンライン版など購読したいメディアはあるが、その多くは年間での購読になっていて、経理的な言い方をすると単月のキャッシュ・フローへのインパクトが大きいため、躊躇してしまう。つまり一度に払う金額が数千円など大きい金額になると、予め貯金でもしておかなければ困る。実際、日本科学哲学会の年会費6,000円ですら予め計画して貯金しないと捻出できないのは、何も貧乏学生だけではないのだ。)

哲学をテーマとするエッセイも数多く公開されているので、国内のプロパーでもご存知の方は多いと思うが、数日前にクリプキの固有名を取り上げたエッセイが掲載されていた。こういう議論を、わざわざ「アウトリーチ」だの「わかりやすい説明」だのと自意識過剰なスタンスを取らずにせっせと書いて公表できているのが、僕にはアメリカで普及している「哲学」の扱いだろうと思っていて、或る意味では日本の実情と比べて非常に〈健全〉な印象をもっている。日本のプロパーが書く自画像的なエッセイの多くを見ると、たいていは自虐的に哲学は役立たずだの外道だのと書きながら、実際には自分たちだけが学者のコミュニティなり学内で〈伝承〉してきた高踏な秘術であるかのように勘違いし続けていて、それゆえわざわざそうした北斗神拳みたいなものをクズみたいな出版社から出す新書や文書で一般大衆(その中にはわれわれのように、〈本物の〉とまで傲慢に言うつもりはないが、少なくともそういう秘術の愚劣な解説を書いている本人よりは遥かに有能な「哲学者」もいるわけだが)に開陳せしめようなどという思い上がりを抱き続けては、実のところ本当に何の社会科学的な影響もないノイズのようなことしかできないのだ。

些事はともかくとして、上記の引用を読むと僅かに違和感を覚えた。なぜなら、"☐ was taught by Plato" のボックスは固有名が入る筈の変項ではないのかと思ったからだ。しかし、確かにこれはボックスに固有名を穴埋めして文を作ろうという意図で書かれているわけではなく、2つの properties なり述部を列挙しているのだろう。それなら、「ボックスをチェックする(に値する人物であれば誰であれ)」という表現も理解できる。

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