Scribble at 2020-12-11 17:30:12 Last modified: 2020-12-11 17:34:06

ちなみに、カエルが微分方程式を解けないのと同じく、自分を遥かに凌駕する存在が自分の目的に適しているかどうかなんて判断できるわけがない。しかし、僕は cognitive closure という概念を、通俗的な脈絡でそういう事例に皮肉として使うつもりはない。

cognitive closure は僕にとっては否定も避けることもできない事実だが、企業において馬鹿を採用することはただの回避可能なリスクだ。そして、そういう回避可能なリスクを延々と放置して、無能な人事部や、あるいは程度の低い人事考課の基準を改善しようとしない企業は、長期的に腐敗するだろうし、それが遠因で市場から撤退する羽目になるのは、言ってみれば市場経済の「自然法則」だし、そうなるべきなのが「正義」でもある。

それに比べて、ヒトの生理的な能力に限界があり、認知機能として制約があるというだけのことで、生物なり知的生命体として《無能》の誹りを誰かから受けて宇宙から退場しなくてはいけないなどとすれば、それは『百億の昼 千億の夜』などで描かれた、単なる SF 物語だろう。それはそれで面白いが、企業の経営は面白いかどうかでやるものではないし、哲学についてはなおさらだ。

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