Scribble at 2020-11-28 08:39:10 Last modified: 2020-11-28 08:41:10

これは、高校生になるまでは考古学者を志望していて森浩一先生の薫陶を僅かに受けた者の一人として言いたいのだが、古墳というものは全て例外なく誰かの墓であるという重大で基本的な事実を、古墳ブームだの郷土史に安っぽい興味を持っている多くの人々は、肝に叩き込むべきだと思う。何か機会があれば、口先だけの左翼はいともたやすく天皇陵を掘れ（そして宮内庁の言い分が嘘であることを突き止めよ）とだけ言う。しかし、仮に大半が畿内に数多く点在している墳丘を発掘するにしても、それが結果として過去の皇族の墓だと分かろうと分かるまいとに関わらず、他人の墓を暴いているという無作法・無礼に変わりはないのである。そして、同じように弥生時代の遺跡を発掘している場合でも、甕棺墓やら方形周溝墓やらを扱うに際しては一定の配慮が必要だ。もちろん、そこで見つかった人骨から推測しうる既往症を公表するにあたって GDPR やら個人情報保護法を考慮しろと言いたいわけではないが、アマチュアの論説によくある迂闊な推論やコメントを付けるのは（報告書に記載するのはもちろん、現地説明会のアドリブとして口にすることすら）慎むべきであろう。