Scribble at 2020-09-19 14:00:22 Last modified: 2020-09-19 21:09:20

簡単に言うと、研究分野として成立してから70年以上が経過する理論を、何か国際的な基準で言って天才的業績を挙げたわけでもない人物が使って、わずか数年で全ての数学や物理学(ついでに科学哲学?)を統一するなんて大風呂敷を、プロパーはもとより博士課程まで進んだアマチュアが簡単に信用すると思ってるのかという話なんだよな。それに、どれかお好みの系を使って既存の数学の全ての定理を基礎づけるみたいな話は、集合論でもよくあるし、圏論でも(旧2ちゃんねるですら)たびたび話題になるが、それを実際にやってみせた人間なんて一人もいない。せめてホワイトヘッド=ラッセルがやったくらいの成果を出してみろと思うんだけど、初等的な結果すら出さないで「原理的にできる」と言うだけなんだよ。僕は数学は苦手だという強い自覚があるのだけれど、具体的な成果を出さないとか、あるいは実際に計算ができない人間が数学を語ってるのは、いちばん腹が立つわけで、それこそ「思弁」にすぎないと思う。

若者独特の野心的なプログラムを打ち立てるのは構わない。でも、昔はそれは大学の寮とかで吹聴するくらいが関の山だったんだよ。いまではウェブでいくらでも世界中に見得を切って見せることはできるわけだけど、逆に言えばそういう大言壮語の裏書としてジャーナルに何本かの論文を採用されたというていどではダメなのであって、明白な学界の評価(レフェリーが読んでアクセプトしただけなら、世の中の無数の論文はすべてそういう評価を得ているだろう。僕が関大や神戸大の紀要へ投じた論文にすら同じことが言える)を得ている証拠として、たとえば arxiv.org に投稿した時点で色々なところで話題になったとか、そういう実績が必要だろう。正式な所属先はよくわからないが、いやしくもプロパーがドクター崩れのアマチュアがよくやるように、「俺は学会に黙殺された天才思想家だ」と自分のウェブサイトで怒鳴り続けているのと同じ体裁では、僕らのレベルのアマチュアから言っても失笑を禁じ得ないわけである。

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