Scribble at 2020-07-03 07:21:05 Last modified: unmodified
本年度のラカトシュ賞を授与する対象がアナウンスされている。受賞対象となった著作である Representation in Cognitive Science (Oxford University Press, 2018) は、OUP の出版物にしては珍しくオープン・アクセスとなっているため、かなり分かりにくいが(ウェブページを職業としてデザインしている観点から言えば、この分かり難さは、よほどの無能による仕事でない限りは意図的なものと言わざるを得ない)、
https://global.oup.com/academic/product/representation-in-cognitive-science-9780198812883?cc=jp&lang=en&
このページの右上に "Open Access" のリンクがある。
「現前の形而上学」などとポストモダニストが揶揄していた、かつての哲学史の余白を記録として留めるのはいい。しかし、それが人の思考なり思惟にどういう影響なり意義をもつのかという、彼らが好む言い方なら「パースペクティヴ」を正確に受け取って自分たちの課題に適用していかない限り、恐らく科学の知見を自由に活用するアプローチを相対化するのは簡単ではないだろう。科学の研究や考察に哲学的な思考を応用して批判ないし導出された科学的知見と、哲学の研究や考察に科学的な思考を応用して批判ないし導出された哲学的知見とを原理的に区別する正当な根拠はないという見識が普及すれば、これを根底から覆すのは非常に難しい。