Scribble at 2018-01-12 13:31:02 Last modified: unmodified

ただいま Oxford University Press の哲学系の雑誌で、無料でアクセスできる論文が紹介されている。こういうものを見ても思うのだけど、日本で分析哲学や科学哲学を紹介すると言っても、その殆どは出版されてから大きな話題になったり評価が定まった「本」が中心なので、どうしてもジャーナルアカデミズムとして動いてきた欧米の学会の趨勢を伝えるには数十年単位での遅れが生じる。しかも、全ての話題について本として出版されるとも限らないし、翻訳は更に一部にとどまるのだから、英語を読めない一般読者や学生にとっては、日本語で書いている人々の「情報処理」に依存してしまうことになる。

僕は普段から、こういう「情報処理」しかやっていないような人々には辛辣なことを書いているが、彼らがプロの情報ブローカーとしての矜持をもつなら、毎月のように発表される Analysis や BJPS の論文からめぼしいものを独自に編集して OUP などと交渉し、独自の月報みたいなものを発行してもよいわけだ。しかし、それは研究者として(教育者として)の時間を更になくしてしまうことになる。これを僕らのようなアマチュア(とは言っても、最低でも修士は出ているのが望ましい)が引き受けるにしても、一定の時間をとるだけのインセンティブを維持するのは難しいし、どのみち経済的にもヒューマンリソースとしても、「できる人がたまたまやる」にすぎない慈善事業のようなものになるだろう。

それゆえ、分析哲学や科学哲学を志望する学生さんには、まず何よりも英語と数学の勉強を積むことが求められる。

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