Scribble at 2018-01-04 11:39:48 Last modified: unmodified

既に数学者のコミュニティでは知られた話だが、日本では『解析入門』などの訳書で知られているにすぎないサージ・ラングという数学者の晩年は、AIDS の原因を HIV ウイルスとする仮説を否定する denialism を奉じていた。もちろん、これは彼の科学研究プロセスにかかわる厳格な基準を適用した結果であるから、アフリカの大統領が口走るタワゴトとは全く別の次元の話ではある(僕はファイヤアーベント流の相対主義を認めてもよいが、「相対的である」ということは、何も価値が「同じである」ことを含意したりはしない)。サージ・ラングの AIDS denialism の詳細は、Challenges に収められた Yale Scientific が初出の論文を読むと参考になるようだ。これは一読してみたい。因果関係の哲学や科学哲学全般の論説としても興味深い事例だと思うのだが、国内で殆ど言及も議論もされてないのは、ラング、というか本人は死んでるから岩波書店に遠慮してるのだろうか・・などというのは陰謀論だな。

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