Scribble at 2017-11-10 12:25:34 Last modified: 2017-11-10 12:27:15

Joseph Agassi がサイトで公表している "Causality and Medicine" という論文をざっと眺めていて、やはり因果関係の哲学については、日本語で所定の分野や論点をカバーした文章を書いておく必要があると感じる。1970年代にすら、これだけ手短に確率的因果関係の話にまで目配せした短い文章があったのに比べて、日本では一ノ瀬さんの3部作は労作で高く評価できるにしても、それ以外では日本の因果関係の哲学は、なぜか生物学関連に偏り過ぎている印象がある。たぶん生物学の哲学をやっている Sober らの翻訳に引きずられているのだろう。したがって、因果関係の哲学に universals を持ち込んだ議論も、ここ数年は分析的形而上学がプチ(出版)ブームだったというのに、全くプロパーが手を付けていない状況で、恐らく20年前に修士として Tooley や Fales の本を眺めた僕が知っていた国内の状況から殆ど進展がないとみていい(アマチュアにそう言われて悔しければ、どうぞ Twitter でコメントしてください)。

ということで、哲学全般については書く技量も資格もないと思うが、因果関係の哲学については概論を書いてみたいとは思っている。もちろんギリシアの古代哲学から話を始める通史も入って来るわけだが、僕は先人の成果を尊重したり称賛するのに「革命」なんて言葉や概念を使う必要はないと思っているので、たぶん僕がサイトで概論みたいなものを公開するとしても、ルネサンス(この言葉もアレだが)から近代にかけては凄く鈍重で、表面的にはエキサイティングなものが感じられない説明になると思う。しかし、そういう表面的な退屈さに耐えられない人は、そもそも哲学をしてもしょうがない(ウィキペディアか知恵袋で良い)と思うので、付いてこなくてもよろしい。

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