Scribble at 2017-11-19 12:50:49 Last modified: unmodified

日本でも因果関係に関わる議論を続ける方がいて、ぜひとも応援はしたいのだが、やはりやってるだけでは困るというのも事実だ。たとえば、DAG を使うのはいいとして、それがなんなんだよというところで英米の研究成果ですら20年くらい止まってた印象があるわけだよね、実際。通史みたいなものの多くは、それこそアリストテレスに始まって確率的因果関係を紹介して終わるわけだけど、せいぜい Pearl の名前を出して終わり。あれなんか、ラカトシュ賞を受賞したのは15年以上も前の話だけれど、そこからいったい何か進展があったろうか・・・言っちゃ悪いけど、パールみたいな哲学の素人に議論の主導権を握られて、スポーンとか欧米以外の研究者が違うアプローチを提案するまで何も前進しなかったんじゃないのかな。まぁ、昨今の因果関係の哲学関連で書かれているものの一部(海外の文献も含む)を眺めて、僕が竹尾先生から言われたセリフをそっくりそのまま投げるとすれば、「それは哲学の議論じゃないよ。理学部に行ってまともな実績を上げてから、それでも哲学をやる必要があればやりなさい」という印象の論説が多い。そして、特に日本では専門に研究している人の多くが生物の哲学をやっている関係で、どうも議論の背景知識として進化論とか生物学の統計学的アプローチとかに論点が集まりやすく、いかにも一部の人々だけがやってる研究という印象が強いので、物理学とか、化学とか、天文学とか、そういった分野の研究者(科学哲学の枠内であれば)にも期待したい。もちろん、純哲の研究者も確率論を使って研究してはいけない道理などないから、そちらにも期待はしたいのだが。

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