Scribble at 2026-06-13 08:09:20 Last modified: unmodified
LLMs なり differential privacy なりと、数学を使う解説が必要な(というか、数学なしに解説するのは、結局のところ浅い理解で留めるという下方圧力になって、多くの人を「教えられる側」に固定してしまう。そういう文科省的なパターナリズムは既得権益をもつ側の利益にしかならない)話題については、既に科学哲学のテキストを企画したときにも説明したように、基準となる予備知識として「義務教育」を設定している。しかし、これだけでも曖昧な基準であって、灘高校や開成高校に進学する生徒だって義務教育レベルの数学を修めているし、みなさんの周りにある中学の生徒も義務教育レベルの数学を修めているはずだが、彼らのあいだには知識の密度や理解度において歴然とした違いがある。よって、義務教育という言葉を掲げるだけでは、実質的に背景知識や能力を明解かつ十分に指定したことにはならないだろう。
そこで、最も簡単な基準から始めてみよう。それは、もちろん「数」とは何であるかを差しあたって義務教育のレベルで理解することだ。自然数、整数、有理数、無理数といった具合である。そして次に、恐らくは四則演算となるだろう。"-2 x ( -3 + 1 ) = 4" だとか、あるいは大学生でも間違えると言われる分数の割り算 "1/3 ÷ 2/3 = 1/2" とかだ。それから、結合法則・交換法則・分配法則といった性質について押さえる。ひとまずこれだけでもいい。実際、なんだかんだ言ったところで、Σ は単なる足し算の省略だし、微分も或る種の割り算であって、積分は或る種の掛け算でしかないのだから、四則演算を正確に扱えるなら代数と解析については基礎ができたと見做してよいはずである(ちなみにだが、僕は子供の頃から「補助線」というご都合主義や skyhook が大嫌いなので、デザイナーを名乗っていながら妙な話だとは思うが、幾何は扱いたくない。ビジュアルはどうでもいい。同じ理由から、僕は集合論の話をするときでも Venn diagram を使わない)。