Scribble at 2026-06-28 15:49:08 Last modified: 2026-06-28 15:52:28

英和辞典を新しくするために、アマゾンでレビューも参考に眺めている。もちろん、既にご承知の方も多いと思うが、「辞書ヲタク」を自称する人物のレビューが非常に丁寧に書かれていて参考になる。でも、色を分けた視認性によって何が重要語であるかが分かるという前提の立て方には、やはり疑問があるので、いちおうここで議論しておきたい。

まず、僕が疑問に感じる理由は、何が「重要」であるかは、その単語を使う人の生活や関心や脈絡によって決まるのであって、単純な語だから重要だとか、派生語だから重要でないという外形や、客観的に測定されている使用頻度だけで決まるわけではないと思うからだ。もちろん、"go" や "of" を全く理解していない人が「英語で生きる」ことなどできないのは確かだろう。

しかし現在の英和辞典で着色されて重要語だと強調されている見出しは、かなり過剰な数に上っていると思う。たとえば、僕が所持している『プログレッシブ英和中辞典』(第4版、小学館、2003)だと、赤字で見出しが着色されている単語は、最重要語、大学入試程度、そして社会人に必要な程度の三段階で分類されてはいるが、どれも赤い太字で印刷されており、それらを分類する左肩の小さな記号が即座に判別できないという事実を考慮すれば、合計して14,500個の単語が太字で着色されていることになる。これは、本書に収録されている約11万7,000語という総数からしても1割以上の単語が強調されているわけであって、どう考えても過剰だと思う。

また、この「辞書オタク」氏は、単語を暗記するためには語源の記述が有用であるという前提を述べてから、語源を表記していた第4版と比べてビジネス用途の辞書であることを宣言して再編集された『プログレッシブ英和中辞典』の第5版は、学習用として第4版に劣るという評価をされている。ここでも、それぞれの言葉の語源を古英語やラテン語やギリシア語からの流れで解説することが有効だという前提で評価されているのだろう。

もちろん、言葉の理解に資することは確かだと思うが、僕は必ずしも語源を明記することが有効だとは言えないと思う。理解することと身に着けることは違うと思うからだ。言葉を自分の生活道具や表現手段として身に着けるために必要な情報は、類似した語源を持つ他の言葉と何が似ているか(あるいは端的に似ているかどうか)であって、それがフランス語とかギリシア語のどういう言葉を語源とするのかどうかという情報は、あまり重要ではないと思う。つまり、辞書に語源を掲載することがどう役に立つのかという話の方が重要なのであって、語源という情報を掲載すること自体が重要なのではない。実際、僕が Word Power Made Easy のような読み物で語幹などを同じくする派生語を学ぶときに役立ったのは、それら言葉の部品がどういう他の言語を起源にしているかという由来ではなく、どういう意味の部品を共有しているかという情報なのだ。

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