Scribble at 2026-06-07 08:45:14 Last modified: unmodified

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「ノー・コード」と雑に語られているが、これが相当に破壊的であることは確かだ。

たとえば、僕が担当している企業のコーポレート・サイトの運用という管掌を取り上げると、これは端的に言って B2C であろうと B2B であろうと、あるいは採用応募者などに対するアピールやブランディングなどという用途も含めて、要するに総務的な public relations の領域の業務として担っている。このような業務の KPI は、もちろん美しいページや楽しいコンテンツを公にするといった自意識や自己満足ではなく、問い合わせを誘因する効果だとか採用応募者の数を増やすといった冷徹な数値だ。そもそも KPI を自意識系の基準やスケールで設定するような馬鹿や無能を会社の部長や経営者にしてはいけない。「今年は盲導犬のなんとか団体にいくらの寄付をしました」みたいなことをコーポレート・サイトで公表しているような企業がダメなのは、そういう理由だ(もちろん、そういう人たちの人格攻撃をしたいわけではなく、そんなことは黙ってやってろというだけの話だ)。

ともかく、コーポレート・サイトというものは、既に当サイトでも幾つかの論説で触れていることだが、それを公表し運用する目的だとか期待する効果を明確に自分たちで設定しなくてはいけない。そして、それは絶対に利用している技術や道具によって制約されてはいけないのである。仮に、みなさんのコーポレート・サイトが「React によってしか作れない」なんてことをウェブ制作会社に言われたらどうだろうか。確かに多くの発注者は素人であるから、「そんなもんかな」と思って彼らに任せるかもしれないが、ウェブ・コンテンツの制作にかかわる技術だけでなく、コンピュータ・サイエンスという基礎的なレベルでも理解している人間からみれば、そんなことが原理的にありえないのは自明である。React でできることは、他のあらゆる JavaScript フレームワークでもできるし、内容によっては他のあらゆるプログラミング言語でもできるのだ。実際にできない(だから React しか選択肢がないかのようなことを言う馬鹿が世界中にいるわけだが)のは、それはそいつらが数理論理学やプログラミング意味論の勉強をしたこともないレベルの無知であるか、あるいは他のフレームワークや言語を扱えない未熟者だからであって、クライアントの与件に問題があるからではないのだ。(寧ろ、クライアント側に問題があるとすれば、それは技術的なことではない。)

ここまで説明すれば、この落書きの主旨が理解しやすくなるだろう。つまりは、与件さえ明解に「プロンプト」として投入できれば、もはや生成 AI がコンテンツを作れる時代に入ろうとしているという話だ。もちろん、万全ではないから人が確認する必要はあるが、はっきり言って確認が必要かどうかすら、僕らのように高度な知識や経験がないと分からないようなところまで、生成 AI の吐き出すコードは洗練されてきている。つまり、そのへんの場末のウェブ制作会社のプログラマやコーダ、あるいはエンジニアと自称している小僧など1,000人が集まっても書けないような品質のコードを Claude や Gemini や Qwen が数秒で吐き出してしまう時代がやってきている。というか、既に「やってきた」と言ってもいい。

このようになると、そのへんの一山いくらで仕事をしている「ホームページ屋さん」が大量に廃業となるのは(ワープロ入力業がそうであったように)避けられないことだと思うのだが、影響はもっと広い。僕が思うには、あと数年で WordPress のような CMS ですら不要になるだろう。なぜなら、CMS はコンテンツを自動で管理することが目的なのだから、その結果として表示されるコンテンツを運営側の素人が自然文で命じて作ってしまえるなら、別に CMS というシステムがなくてもいいからである。実際、本当のところコーポレート・サイトの殆どは、コンテンツに「動的」な要素なんて殆どないのだ。そして、あるとしても、それは JavaScript で実現しており、JavaScript のコードそのものは静的なコードであるから、最初にクライアントが「何を動的に表示するか」を指定するだけでいい。

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