Scribble at 2026-03-02 17:57:37 Last modified: 2026-03-02 18:09:42

ここまでの議論に具体性がないという印象を持っている方もおられようから、一例として『よくわかる生物基礎+生物』(赤坂甲治/著、学研プラス、2014)から引用する。ここは、「生物」の第1章第2節第8項のホルモンを解説している箇所だ。

「ホルモンには,血糖を調節するインスリンやグルカゴン,糖質コルチロイドなどがある。いずれも血液によって運ばれる。ホルモンの標的となる細胞には,ホルモンに特異的な受容体がある。受容体がホルモンを受け取ると,細胞の代謝や遺伝子発現を調節して応答する。」(p.220)

ここから後は、グルカゴンと糖質コルチロイドの作用を列挙しているだけであり、特にホルモンとは何であるかを理解するにあたって必要な箇所ではないから、割愛する。だが、上に引用した箇所だけを眺めても、やはりホルモンについて雲を掴むような説明しかしていないのは明白だろう。

(1) 「ホルモンには,血糖を調節するインスリンやグルカゴン,糖質コルチロイドなどがある。」・・・これは、「ホルモンには色々ある」と言っているだけだ。

(2) 「いずれも血液によって運ばれる。」・・・なるほど、ホルモンが血液で運ばれることは分かる。

(3) 「ホルモンの標的となる細胞には,ホルモンに特異的な受容体がある。」・・・これも、確かにホルモンの標的となる細胞があって、それぞれのホルモンに対応する特異的な受容体があることがわかる。これもいい。

(4) 「受容体がホルモンを受け取ると,細胞の代謝や遺伝子発現を調節して応答する。」・・・ここは、「標的となっている細胞、つまり受容体がホルモンを受け取ると、色々あって応答する」と言っているだけであり、特異的に応答するのがホルモンの仕組みなので、つまるところホルモンはホルモンとしての応答をすると言っているにすぎない。

このように、ホルモンがなんであるかは、この説明だと何も分からない。特定の種類の細胞に受け取られて反応するというだけだ。しかし、これだけなら免疫でも同じ説明ができる(どちらも、細胞内外のシグナル伝達という生化学上あるいは分子生物学上のプロセスとして分類できる)。これでホルモンを理解せよと言われても、まるで YouTube で適当なことを雑に喋っている連中の受け売りみたいなもので、何かを科学の知識として理解した実感がないのは当たり前である。これをロボットのように暗記して何食わぬ顔をするのが「理系」であれば、理系の人間とは要するに科学を理解していない、教科書を丸写しで記憶するコピー機のような人間のことである。

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