Scribble at 2025-09-18 09:54:21 Last modified: unmodified
決して皮肉で言うのではなく、妙な時代になったものだなと思う。こう言っては悪いが、ゲーム理論が普及してからというもの、関心をもったり専攻する学生が減る一方の倫理学で、しかも思想史あるいは学説史という、プロパー以外は興味を持つ理由も必要もないような話題で、単行本を上下巻で出版できる余裕が勁草書房というクラスの出版社にも残っているという事実を表しているからだ。
MarkupDancing では何度か書いている話だが、出版というのはタイトルごとに新規事業へ投資しているのと同じであって、銀行から多額の融資を受けて長期間に渡る執筆・編集のランニング・コストを維持したり、書籍の製造コストや在庫のコストも考慮して資金を用意し、所定の売上が出てようやく回収できて負債を返済できる。出版社というのは、基本的にこういう実務の繰り返しであって、予想を超えて大きな売上を出すタイトルで自社ビルを建てたり建て替えたという逸話が残る出版社もあるにはあるが、そんなものは例外もいいところだ。たとえ女子高生の本番シーンを表紙に描いた『AV 哲学入門』みたいな本を翔泳社や日経 BP から、あるいは本当に出版しそうな幻冬舎や太田出版や扶桑社みたいなクズ出版社から売り出そうと、そんな売上を自ら意図して生み出すことはできない。