Scribble at 2025-06-09 12:01:22 Last modified: 2025-06-09 12:02:32
さきほどポッドキャストを追加した。あいかわらずと言われそうだが、例の「マインド・アップローディング」についてのセッションだが、最初から NotebookLM の音声概要に批判的な立場をとるように指示しているわけではないので、一般論としてお聴きいただけると思う。ただ、その中で指摘される思考実験というか想像の中には、なるほど未熟な段階でこんなこと、つまりマインド・アップローディングなんてことをやるのは非常に危険であると分かる議論がある。
たとえば、こういう想像をしてもらいたい。
あなたは理屈はともかく意識をもっているのだろう。それはいいとして、そういう意識をもったままで身体がちょうどすっぽりと収まるケースに押し込められたとしよう。よくある怪談のネタ、つまり棺桶に入っている状態で息を吹き返した人の事例は、どのみち死んでしまうから不適当な事例だから、別の状況で想像するなら意識だけがあって身体が全く動かせない病状の人だと思ってもいいのだろう。さて、その状態のまま、シンギュラリティ信者が思い焦がれているように、何千年だろうと何万年だろうと(どういうわけか生命維持ができていて)意識が持続できるとする。もちろんだが、何も見えないし聞こえないし感じないし、なにかやろうとしても身体は動かない。
僕が当サイトで立てている "FPV" という観点が、もしこういう状況と同等であれば、恐らくこんな観点は維持できないだろうと思う。たぶん僕なら1日も経たずに気が狂うと思うからだ。寝ている状況と同じだから、いっそ寝ている状況を無理に継続するような措置をとってもらったらいいと思うかもしれない。でも、少なくとも僕の経験だと夢というのは意識をもつ当人が自分自身の意志で止められる。実際、夢を見ている途中で、「あーこれは夢なんだけど、こんな夢はどうでもいいから、いったん起きよう」と思って、夜中に覚醒したことが何度もある(ちなみに、死ぬのは寝たり麻酔で意識を失っているときと同じだから怖くないなどと言う人がいるけれど、逆に言えば、寝たり麻酔を施術されたまま本当に死ぬことがあるからこそ、麻酔を怖がる人がいたり、寝るのが怖くてなかなか寝付けない人がいたりするのである)。なので、夢を観ているような状況での睡眠は、意識だけを孤立させた状況とはぜんぜん違う。前者はそれを止めることができるけれど、後者はそんなことができないからこそ、それに気づいて怖くなり、やがて気がおかしくなるのだ。こんなの、気がおかしくならないほうが狂っているとすら言える。
なので、自意識の働きという一部の機能だけを独立に別の機構へ移すなら、脳全体をアップロードするよりも簡単だなどと言う人は、僕に言わせれば殆どマッド・サイエンティストの類だ。