Scribble at 2024-11-21 14:25:55 Last modified: 2024-11-21 18:04:17

添付画像

Half of Young Norwegians Say Online Piracy Is an Acceptable Way to Save Money

この記事では音楽のストリーミング・サービスを取り上げているが、この話は人がそれぞれ生活したり仕事したり勉強するときに利用するリソースの全てについて考慮しなくてはいけない。そうすることで、僕らは確かに合法ではあるものの、合計すればどれだけのコストをかけているかが分かる。

たとえば、Z-Library のような海賊版の図書館を利用する学生にしても、他方で彼らの多くは音楽のストリーミング・サービスにサブスク料金を払っていたり、Amazon Prime や Netflix や Disney+ の料金を払ったり、Microsoft 365 のサブスク料金を払っているかもしれない。ともあれ、生活全般に必要なコストを集計すると、実は非常に割高な金額を払い続けていることが分かる。サブスクは、僕らネット・サービスの提供側にしてみれば「打ち出の小槌」であるかのような扱いを受けているが、はっきり言って消費者にしてみれば「ヤク中」にさせられるのと同じだ。そもそも、これまでと同じくスタンドアロンのアプリケーションを購入して10年も使い続けられずに、アプリケーションどころかパソコンまで頻繁に買い換えなくてはいけないような状況にしたのは、僕ら消費者ではなく提供する側なのである。

これは電通案件にも対応してきたウェブ・デザイナーの一人としても言っておくが、いまでもウェブで扱うビジュアル・コンテンツのデザインなんてものは、20年前の初代 Photoshop の機能だけで十分だ。現在の Photoshop CC 2025 なら背景の切り抜きに AI が使えるなんて言ってみたところで、そもそも背景を切り抜かなければ成立しないビジュアルをデザインする人間がデザイナーとして無能なのであって、そんなものはクリエイティビティとは関係のない話なのだ(最初から背景も使えるように撮影スタッフに指示や要望を出すのがデザイナーであって、Photoshop で画像をレタッチするしか能が無いオペレータ風情が、われわれと同じくウェブ・デザイナーを名乗っていること自体が傲岸不遜というものだ)。そういうわけで、次々と無用の機能を詰め込み、それを有効に使うために高性能なパソコンが必要だと煽ってきたのは、業界の方である。僕らデザイナーは、そんなものまったく必要なく上質なコンテンツを作り出せる。もちろんだが、生成 AI のパワー・ユーザでもある僕自身が、おおよそこの1年で500万枚以上の画像を生成してきた者として言うが、まともなレベルのイラストレーターやデザイナーなら生成 AI など歯牙にもかけないクォリティのイラストをいまでも描けることを保証する。

というわけで、昨今はなんにつけコストが掛かりすぎることが、海賊版なりコピーが出回る一つの原因になっていると思う。もし著作権が大切だからといって、若者の大半がゲームのガチャだけにお金を使うようになって、もう音楽や映画のサブスクにはお金を使っていられないと判断すれば、芸能界なんて即座に破綻し、ちんどん屋と同じレベルの業容にまで衰退するであろう。いまのところは、かろうじて正規の料金を払える人々と、そうでない人々が所得などに応じて同居している現状があって、もちろん正規の料金を払える人々は当然ながら比較上は裕福な国に住んでいたり、国はともかく余裕のある暮らしをしているのだから、正規の料金を払うことは一種の税金と見做せるであろう。したがって、僕らのようにオープン・アクセスを支持している人間は、全てのコンテンツを無償で開放しろと言いたいわけではなく、状況に応じて払える人は払うような実態で構わないと言っているにすぎない。そうした人々からの報酬だけで、いったい出版社は何が不満なのかという気がするね。赤字なの? 違うだろ。

ここで整理し直すと、話は単純だ。情報には価値がある。これは事実で、誰も否定はしない。でも、情報を集めたり分析したり伝達するには手間もコストもかかる。これも事実であって、いかにフリーのコンテンツに慣れた「デジタル・ネイティブ」と呼ばれる電脳乞食のガキどもでも分かるだろう。すると、もちろんだがコストを負担できる人とできない人がいるわけで、これは時代や地域に関わりなくある貧富の格差というやつだ。インターネットがこれを解決するわけでもないのは、既に民生化された常時接続サービスが普及して20年くらいになった現状が、明白に立証している。しかし、だからといってコストを公的に支えるとなると、僕らは NHK しか見られないという状況に陥る。これは、もちろん中国やロシアのように情報をいいように操作されるリスクがある。よって、情報を得る手段を自由に維持するためには、国家権力や大企業にだけ委ねていてはいけないわけだが、NGO や個人がジャーナリズムの質を担保できないし、かといって10年くらい前に流行したキュレーションだのまとめサイトだのも同じ程度の無知なクズどもが運営しているにすぎないガラクタ事業の巣窟であった。こういう状況で、自由は確保したいが格差があるという、ジレンマをどうするか。さきほど書いたような、有料でアクセスする人と無料でアクセスする人が共存したままという都合のいい状態を維持するには、たぶん有料でアクセスしている人々を寄付扱いとして一定の寄付金控除を認めるとかが現実的かもしれない。国がバックアップするけれど、何を購読しているかには干渉しないということだ。

  1. もっと新しいノート <<
  2. >> もっと古いノート

冒頭に戻る


※ 以下の SNS 共有ボタンは JavaScript を使っておらず、ボタンを押すまでは SNS サイトと全く通信しません。

Twitter Facebook