Scribble at 2024-09-27 10:25:01 Last modified: unmodified
人を採用するのに、弊社は上場を中期目標にしていて、上場すると何か待遇が良くなるかのような期待というか妄想を勝手に描いてもらうような、或る種のコールド・リーディングみたいなことをやってるみたいだけど、もちろん社会科学の見識が殆どないであろう科学哲学のプロパーでも、株式の上場と従業員の待遇とは全く関係がないことくらいご存知であろう。実際、上場企業でも従業員の平均年収が300万円なんていう会社はザラにあるわけで、上場企業の事業本部長の年収がいまの僕と同じ程度という(それなりに悲惨な)事例すらある。ただ、上場企業だと銀行の住宅ローンや学資ローンとかが簡単に通るから、そういう違いはあるんだよね。
株式を上場する目的なり効用の一つは、もちろん資本金が増えることだ。事業を急速かつ大規模に拡大して売上なり利益を大きく増やすという見通しがあれば、株式を上場してその元手を獲得し、しかるべき投資を行うことで成果が出るという仕組みだ。でも、その場合の「投資」というのは、たとえば事業所を増やして人員を増やすとか、設備投資して機材を増やすとか、そういうことが大半であろう。いまいる従業員の給料を、上場したからと言ってご褒美のように倍にしたとしても、そんなことで売上や利益が増えるわけがない。したがって、上場企業になると自分の給料も上がるだろうと思っているなら、それは単純に人事部とかの甘言に騙されているだけである。株式の上場によって財産を作りたいなら、従業員で社員持株会を設立するとか、会社にストック・オプションを要求するといった具体的な仕組みを作っておく必要がある。ちなみに、僕も15年くらい前にストック・オプションをもらうはずだったのだが、いつのまにか話がどこかへ立ち消えとなってしまっているらしい。