Scribble at 2023-11-22 18:21:47 Last modified: 2023-11-22 18:53:44
さきほど会議の中で「ミッションがない人を簡単に採用してはいけない」という発言を聞いて、なるほど至言かと思った。ミッションというのは、いわゆる「タスク」とか「ノルマ」とは違う。その組織が事業を継続するに当たって必須の目的を果たす責任を負っているという意味だ。よって、アルバイトがメニューをお客さんの席へ持っていくのは、確かに立派な一つの仕事ではあるけれど、それはあくまでもタスクであって作業でしかない。外食産業は、その人物を「メニューを客席へ運ぶ要員」として雇ったわけではないし、企業の存続や成長にとって重要な役割を担ってもらうつもりで雇ったわけでもない。もちろん、アルバイトが適正に仕事に励むことは事業を維持するための一つの条件ではあるけれど、必要というわけでもない。なぜなら、いまではメニューを客席に持って行かなくてもタブレットで注文を受けられるし、配膳もロボットがやれるからだ。
となると、ミッションを与えられていない人員だけが肥大化していく事業というものは、ミッション以外の労務で多くの収益を挙げる業種では拡大しやすいけれど、やはりそれは本質的に言って「水商売」という話になる。外食産業がそうであるように、就業者の大半がアルバイトやパートだという会社になると、彼らを安く使って収益を得ているうちはいいが、ひとたび状況が悪くなると労働市場では買い手と売り手の優劣が簡単に逆転してしまう。コロナ禍においても、簡単にアルバイトの首を切って、コロナ禍が収まったところでインフレとなった状況でも、まだ最低賃金で人を雇えるなどと甘いことを考えていた外食産業は、人手不足で廃業に追い込まれたところもあった。安く、簡単に人員整理できるような人材として雇っておきながら、いざ会社が苦しくなったからといってアルバイトに愛社精神だの矜持だの労働意欲だのを要求しても、それは全く虫の良い話でしかない。そういう舐めた企業は、潰れるのが社会正義のためだ。
こういうことを言うと、雇用が安定しなくなるなどという人がいるのだけれど、そんなに悪辣な企業ばかりが日本に揃っているわけでもない。デタラメな労務思想で人を雇っている連中が市場から続々と退場しても、まともな会社が残りさえすれば失業者の受け皿になりうる。また、会社が次々に潰れると(子供の頃の冗談も交えて言えば)吉本の芸人かヤクザになるしかなくなるだとか、あるいは警察か自衛隊に入るしかなくなるなどと言う人がいたりしたものだが、これも全くの冗談であってデタラメな話だ。こういうフレーズは、子供や酒飲みどうしの間で「何が賎業であるか」を再確認するための、冗談ではあるがしかしいかにも日本人らしい陰湿な暗号みたいなものだ(もちろん、いま述べた事例は間違っている。特に、警察や軍隊は近代国家にとって不可欠の尊敬すべき仕事だ。なんとなれば、場合によっては彼らは我々を守って命を失うかもしれないからだ。そういう立場にコミットするのだから、愛社精神などという安っぽいフレーズとは比べようもないような態度であろう)。