Scribble at 2023-06-26 17:00:05 Last modified: 2023-06-27 19:42:45
数学の教科書には馬鹿げたものが多いと書いたが、内容についても馬鹿げているし、叙述の仕方や書物としての構成も非論理的なものが多々あるという意味だ。たとえば、このところ宇宙際タイヒミュラー理論に絡んで続々と本を出すようになった人物が手がけた、大学初年度向きの線形代数の教科書を書店で眺めていたのだが、0章に書かれている内容を理解するために1章を読めなどと馬鹿げたことが書かれている。
こういうものを続々と書いているのが、日本の「教科書ライター」と言うべき数学教員であり、正直なところアメリカの地方大学かコミュニティ・カレッヂにでも行って、そこのレベルの教員にテキストの書き方くらい教わってきたらどうなのかとすら思う。
本を書くというのは、僕も雑誌の編集者をやっていたことがあるので分かっているつもりだが、博士号をとったていどのことでやれる仕事ではないし、東大で何十年と教えていようと自動的にやれることではないのだ。正直、学生の立場に立つと「ふざけんなよ、ド素人が」と言いたくなるような教科書で、日本の出版市場はあふれかえっているように思う。
あと、定番だとか「名著」と言われているけれど、僕にはストラングの線形代数の本とかは理解不能な書き方をしているようにしか思えない。第1章で、いきなりベクトルの定義もなしにスカラー積を持ち込んで話を進めている。YouTube の動画でも似たような調子だけれど、あれはなんなのか。故森毅氏のようなノリなんだろうか。ひととおり線形代数を修めた advanced undergraduates を対象にしているなら理解もできるけれど、逆にそれならあの教科書は専門課程向けとしてはレベルが低すぎると思う。