Scribble at 2023-03-03 10:04:18 Last modified: 2023-03-03 10:10:18

もういまではすっかり一つのジャンルとして定期的に研究書が出るようになった history of analytic philosophy だが、どうもいまいちなのが、数々の哲学教員を紹介して、やれこの人物はこういう点で分析哲学の先駆者だったの、あるいはこの人物はこういう議論をしていたから分析哲学のこれこれの議論に影響があっただの、どう考えても素人の歴史学というか、端的に言っておまえらそれ学部生のクリシンの授業ですら教えないような低レベルの後知恵だろうとしか言いようがない議論をしてるように思える。要するに、彼らが「発見」したい分析哲学なるものの観念があって、それに見合う(失礼だが)マイナーな人物の論文とか著書を、Harvard や Cambridge の図書館からほじくり返しているにすぎないのではないか。

イギリスの研究者だと最低でも古典学や歴史学の、いわゆるリベラル・アーツの基礎的な勉強はしてるだろうから、そういう愚かな hindsight というか結論ありきの議論はしてないと思いたいところだが、さてはて。

そうしてみていると、当然のことだと思うが、ラッセルやフレーゲについての著作も多く出ている。Palgrave Macmillan なんて、叢書になるんじゃないかと思うほど続々と出してるけれど、はっきり言えばラッセルやフレーゲの成果が影響をもっていることなんて、いまさら教えてもらうような発見でもなんでもないんだよね。しょーもない二束三文の通俗本にすら書いてあるような常識の一部にすぎないわけで、それはもういいよって気がする。

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