Scribble at 2022-08-04 17:51:28 Last modified: 2022-08-04 17:52:05

[MD で7月31日に書いた落書きの一部を転載しておく]

新刊で『現れる存在: 脳と身体と世界の再統合』というのが早川から出ていたけれど、この手の日本の人文系の人々が大好きなお手軽ホーリズムというか、実質的には環境決定論の一種だと思うのだが、自然系の学者でも耄碌してくると、こういう環境との「相互作用」だの「有機的統一」だのという妄想に取りつかれる。たぶん欧米でこういうものが一定の客層を持っているのは、キリスト教がそういう宗教だからなのだろう。

ということで、こんなものをいくら読んでも中沢新一レベルで終わってしまうだろうから、もう最近は華麗に無視するようにしている。

ただ、僕は表象主義を支持しているわけではなく、意識は脳で起きる反応の(ダニエル・デネットの言い方を借りるなら)もしかすると素晴らしいものではないかもしれない、ただの side effect である可能性が高いと思っている。だが、本書のようなアプローチは外在的な要因についての重要性や役割について過度に強調しすぎているし、心とか意識が脳で起きる(実はしょーもない)おまけみたいな現象にすぎないという可能性を最初から否定しているという点で、僕に言わせれば科学と言うよりもエンターテインメントの本だとしか思えない。

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