Scribble at 2022-06-09 10:34:09 Last modified: unmodified
学術書の出版社であれば、もちろん reference という実務を考慮して配慮して電子書籍を作成している事業者が大半だと思う。「reference という実務を考慮」するというのは、簡単に言えば典拠表記としてページ数を指定するという慣行に照らして、印刷物としての書籍と電子書籍とでページに違いがないよう配慮しているということだ。しばしば、デジタルデータから電子書籍を作成するときに、読みやすさを考慮して画面上に表示する文字のサイズを大きくするため(電子書籍は10インチ以上の画面サイズがある専用デバイスやタブレットだけではなく、スマートフォンで読んでいる人も多い)、印刷物をそのまま PDF にしたような体裁ではなく、モバイル・デバイス専用の版面に文字や図表を落とし込んでいる場合がある。すると、当たり前だが印刷物と比べてページ数が増えたり画面に表示できる文字数が減ったりするため、ページ数を指定しても印刷物とは異なる個所を指すこととなる。そういう事情もあって、電子書籍の専用版面として作成されている場合には、目次からのリンクはしていても画面にページ数が表示されていない電子書籍もある。
すると、Springer や大学出版局から出ている(電子)書籍だけを扱うわけでもない限り、ページ数が表示されていない電子書籍しか手元になければ、reference としてどうするかという実務上の問題が出てくる。reference するためだけに書籍を買いなおすなんて気軽にできるのは一部の成金だけだし、そもそも学術研究の実務としてそこまでやる責任があるのかという問題があろう。実際、理数系の学術誌では reference にページ数の記載を求めない場合も多々ある。