Scribble at 2020-08-09 09:06:49 Last modified: 2020-08-09 09:19:01

会社で AI について、恐らくは営業トークとかで使えるていどの内容で、研修を開く予定だ。AI なりビッグデータなりといった未知のキーワード(残念ながら当社はとっくの昔にそれらを活用していてしかるべき、オンライン・サービスのベンチャー企業なのだが)を的確に解説する良い機会だと思う。もちろん、そこらへんに一山幾らで売っている通俗本や、「新進気鋭の若手哲学者」の手による愚にもつかない解説に比べたら、それこそお金を払ってもらえる研修教材になることは請け負ってもいい。

そういうわけで、閉じたコミュニティで使う教材について有能だの請け負うだのと言っていても中二病のラノベ小説家みたいなものなので、科学哲学の学部生が読めるていどの内容として当サイトにも公表する予定としている(こう宣言すると、自分自身への牽制になる)。世の中に出回っている三流どもの哲学用語の解説本や、哲学的な議論の手軽な虎の巻みたいなものを2,000円くらい払って読み続けていることが、いかにお金と時間と労力の浪費であるかを、文句のつけようがなく優れた実例を公表してはっきりさせておこう。結局、講義だろうと出版だろうと、そういう経緯において根本的な、つまりは哲学というものをまともに自身の課題として実行していない人間が何をやっても無駄であるという明白な事例を一つくらいは手間暇をかけて示しておくのが、ふだんはそうした人々を無能だのカスだの文化芸人だのと評している側の責任というものでもあろう。

僕は学術に関しては一定の「トリクル・ダウン」という発想を許容しているので、有能な人間こそ率先して業績を上げることに専心するべきであり、そうでない者は無能の自覚があればこそ、そういう人々をサポートしなくてはならない。僕は或る点では有能である自負をもっているが、そうでない点では若い人々のサポートをしたい。よって、いつまでも検証可能性だパラダイムだとキャッチーな概念や論点を並べ立てるだけの introduction to the philosophy of science を読まされる学生には、更に望ましいと思うサポートをしたいのだが、内井・伊勢田氏の歴史を踏まえたアプローチの入門書だけを推薦していては不十分だし、森田氏らの《自然科学者にウケる》議論を展開しているだけでは、どれほど複雑な式や概念を振り回そうと哲学的には何も掘り下げていない。今回は概論ではなく人工知能や学習理論だけの教材だが、方針としてはほぼ概説書を編集する際の方針と同じだと思う。

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