Scribble at 2018-03-20 17:14:45 Last modified: unmodified
とりあえず因果関係にかかわる出版がプチブームのようだ。もともとは数年来の統計学ブームから派生したものなので、哲学の議論に大きな関心が集まっているわけでもないが、関連する話題なり古典的な話題としてヒュームの議論に関する業績が取り上げられて出版されるのはよいことだ。もちろん、僕自身が因果関係の哲学に関わっているという事情もある。正直言って、日本の哲学や思想に関する出版物は、時間とか因果関係とか人生の意味とか存在とか、とにかくビッグ・クエスチョンを避ける傾向があって、通俗書の山を築き上げるのが啓蒙だと勘違いしている編集者が多すぎる。本来、啓蒙とは一定の見識に導くことであって通俗化のことではない。一定の見識へと導くにあたって教育や説明を工夫することと、ガキを哲学者に見立てて下駄を履かせるような甘やかしとは別である。