Scribble at 2017-10-25 19:47:59 Last modified: unmodified
帰りに閉まりかけの天牛堺さんで『ユーザーイリュージョン―意識という幻想』を見つけて買ったのだが、これも15年前の本だ。これが出る前から「意識は幻想だ」というフレーズは何年毎かで通俗書のキャッチフレーズになってきたが、結局それがどうしたというのか。心の哲学でも、脳科学や認知科学の知見を重視する人々の大半は、そんなことは既に自明の知識であろう。この分野の問題は、それでも一人称としての経験は幻想ではないだろうという主観的な事実をどう扱うかにあって、そこは恐らく現象学などと一緒に取り組まないといけないのだろうが、成果は殆どないように思える。
自意識と呼ばれる自覚的な何かが個々の神経細胞を制御しているわけではなく、寧ろその逆(神経細胞の働きの結果)であるというのは、いまや自明なのだ。哲学だろうと脳科学だろうと、10年かかってもその先に進んでいないように思えるのは、なぜなのか。