Scribble at 2026-07-27 11:57:15 Last modified: 2026-07-27 12:30:03
人気のビジネス書のほとんどは知的な厳密さではなく、感情に訴えかける内容ばかりだとのこと。そうしたビジネス書は単純化されたストーリーを一般的なアドバイスに、希有な成功を普遍的な戦略に、複雑な市場動向をモチベーションアップのためのスローガンに置き換えるなど、正確さではなく読みやすさや娯楽性を優先することで好評を博しただけだと、Jack氏は主張しています。
この記事は昨年の5月に公開されていて、Hacker News でも同じ月に話題となっていたわけだが、実は既に "Jack" という人物の Substack アカウントは削除されている。僕も3年くらい前に70冊くらいのビジネス書を読んで、その大半が単なる結果論や後知恵だったり初歩的な生存バイアスによる短絡だったりすると結論づけたわけだが、しかし Jack と同じくエンターテインメントの読み物としてはウェルチの『わが経営』だとかコリンズの Good to Great は面白いので、別に焚書とするほどのものではないと思う。ただし、BOOKOFF でしか見つからないようなゴミになるのは避けられないと思うがね。
ということで、ピーター・ティールの Zero to One も同じような本であり、色々な事実を無視したり単純化している。殆どのベンチャーはアイデア一つで成功したり上場したわけではなく、色々なサービスを始めては止めた末に何とか成功に漕ぎつけたのだ。
それに、こういう本を書くアメリカの大企業の経営者というのは、ベンチャーだろうと老舗大企業だろうと、そもそも彼らは establishment の家庭に育った大金持ちの小僧なわけで、言ってみればセラノス事件を起こしたサイコパスのお嬢ちゃんと同じく、バイトや親の肩叩きすらやったことがないような連中だ。最初から周りの人たちに膨大な資金を借りたり、電話一本でニューヨークのど真ん中にオフィスを借りたりするような手合いが大半を占めている。ガレージで商売を始めたとかいう神話が残っている何人かの経営者にしたって、場所はガレージでも資金や生活費は周りの大人からいくらでももらっていたような人々なのだ。つまりは、ビジネスを始めた場所からして違っていたわけである。すると、貧民街の路上でレモネードを売る少年と、富裕層の gated community でレモネードを売る少年とで、売り上げの桁がまるで違うのは当然のことなのだ。