Scribble at 2026-07-21 10:46:27 Last modified: 2026-07-21 15:58:20

既にアメリカの企業では起きている問題なのだろうと思うが、ここ5年くらいの動向として、オンライン・サービスのサイトでパフォーマンスが著しく低下していると思うんだよね。Oxford University Press のような学術出版社のサーバですら、電子書籍のファイルが全くダウンロードできなくなるという場面に何度も遭遇するようになった。つまり、フロント・エンドの実装は React バカばっかりになって、ロジックは専門学校生みたいなレベルの組み方しかできず、ネットワーク・エンジニアはまるで存在しないかのようだ。思うに、有能な人材の多くが AI の開発に投入されているのか、既存のネット・ベンチャーにはカスみたいな人材しか残っていないかのような様相を呈している。

UX の設計が未熟で、やたらと JavaScript のライブラリに頼る実装が横行していて、とにかくレスポンスが色々なサービスで低下してきている。中には、ChatGPT Image 2.0 のように、画像処理の大半のリクエストがタイムアウトしてしまうとか(早朝、昼間、夕方と幾つかの時間帯で試してみた)、WeWork のアプリで指摘したように、スマートフォンのアプリがリニューアルされると経験も素養もない無思慮な人材が知財でもない既存のアプリの画面を再利用することもなくスクラッチから画面を開発してしまい、逆に利便性やパフォーマンスが低下してしまったり、色々なサイトでは画像だけが表示されないという分散処理の基本的な問題が起きていたり(こんなのは20年以上も前にアダルト・サイトなどのエンジニアが取り組んでいた問題で、これを解決するために考案されたのが CDN だったというのに)する。

2年くらい前までは、これは動画配信サービスの流行などによるネットワーク・リソースの枯渇や滞留、それから生成 AI のブームによって起きているデータ・センターなどの計算資源の枯渇といった理由を想像していた。もちろん、大状況としてはこれも原因の一つなのだろう。でも、どうもハードやリソースだけが原因なのではなくて、そもそもそれを設計したり実装したり運用する、人材の問題ではないのかという印象も強くなってきている。そして、サービスを提供する企業の経営者は、そういう状況をなんとなく分かっているからなのか、いわゆる DevOps 系の業務を生成 AI エージェントへ担わせるというビジョンを口にするようになっているようだ。もちろん、このような傾向は他にも AI を利用する側の企業ですら起き始めていることなのだろう。つまり、生成 AI を導入したり運用することに多くの(有能な)エンジニアが投入されて、従来のエンタープライズ・システムの運用やマクロの作成とかは「二軍」みたいな人々が担うことになるわけだ。IT ゼネコンや事務屋でも、生成 AI 関連に優秀な営業が割り当てられて、クラウド・サービスだとかボールペンの営業には新卒や窓際族が割り当てられる。

しかし、当たり前だが業務プロセスというものは AI だけで成り立つわけではないし、それどころかパソコンだけで担えるわけでもない。どういうサービスやテクノロジーやデバイスを使っていようと、なんだかんだ言っても人が重要であり続けていることに違いはない。これは、もちろん生成 AI のユーザとしても言っているし、企業の CAIO としても言っている。人材やリソースの極端な割り当ては、たいていにおいて特に企業経営においてはロクな結果をもたらさない。たとえば短期間に何かを売ろうとして大量のバイトを雇ったり営業代理店に委託しても、そんなことをやって成功した企業なんて殆どないはずだ。逆に、付け焼刃で習得した商材の情報を出鱈目に説明されたせいで、成約どころか、自社の商材に対する誤解や反感や悪印象がバラまかれるという逆効果になることが多いからだ。同じように、いっときの必要だけで人材や予算を生成 AI へ極端に割り振ると、その間に起きた問題を修復したり取り繕うのが困難になる。どれほど AI のサービスが色々と出てきても、既存のサービスが使い辛くなったりパフォーマンスが低下してしまえば、仕事や生活は AI だけでやるわけではないのだが、全体として評価は落ちるものだ。

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